赤堀雅秋×シアターコクーン第3弾!
多彩なキャストと共に描き出す
“世界”のはじっこ。
人生は喜劇である。
今夏、話題沸騰の映画「葛城事件」は、赤堀雅秋の監督第2作である。ヘヴィーな内容とほの暗い美意識、その中で観客に最も訴えかけたのは、一定のテンションに保たれ、絶妙のバランスで最後まで疾走する俳優陣の演技であった。
そして赤堀雅秋×シアターコクーン第3弾となる今作。初登場の『殺風景』(14年)では、実際の凄惨な殺人事件を描き、家族と土地の歴史と因縁をじりじりと炙り出してみせた。続く『大逆走』(15年)では一転、オフビートな笑いを提供。ダメな男たちと不思議な女たちの一夜の大暴走を抽象的な空間のなかに描き、新境地を開拓した。そして、期待が高まる今回は…!
地方都市で町工場を営む家族を中心に描き出される、街、工場、そして家族…。逃れられないミニマムな人間関係。様々な波紋が広がるなか、日々の営みは続いていく…。
繊細で丁寧な人間の描写、陰影あるキャラクター造形、そして溢れだす生々しい感情…。
これぞ赤堀ワールド!満を持して真骨頂をみせる舞台になるであろう。
赤堀が描き出す“やるせない喜劇”に、演劇界内外から熱い注目が集まる!!
演劇界の重鎮である風間杜夫が満を持しての赤堀作品に初参加。そして3作品連続の登場となる、赤堀ワールドになくてはならない存在の大倉孝二。久しぶりのストレートプレイになる早乙女太一は、いったいどんな役柄になるのか!?本作品が初舞台となる広瀬アリスが赤堀作品にフレッシュな風を巻き起こし、劇団公演「葛城事件」で赤堀ワールドを体感済みの鈴木砂羽に期待がふくらむ。TVから舞台でのキャリアも着々と積み重ねる青木さやか、TVドラマ・映画と多方面で活躍する和田正人、ベテランの梅沢昌代も参戦、そして2回目の福田転球も加わる。
演劇ファンなら興味津々のこの顔触れ。
また本作では役者としての赤堀雅秋も重要な役どころで登場予定!
このメンバーたちに書き下ろす赤堀の新作公演で、2017年シアターコクーンは幕を開ける。
演劇に携わって約二十年。雑種の犬が己の肛門の匂いを嗅ぎたくてクルクルと不毛に回転をし続けるかのごとく己の作劇の本質を探ってきて、時折通り過ぎる上等な血統の犬の肛門も嗅いではみたが「やはり違う」と何となく違和感を覚え、中空を睨み、やがて風に運ばれてきた匂いに「これだ!」と必死に鼻先を求めてみたら不本意ながら己の肛門で、結局不毛な回転。さすがに最近気付いてきた。劇作家として自分が何を成すべきか、何が出来るのか、いや、何しか出来ないのか。諦念ではない。青臭い言い方をすれば、覚悟だ。
生活者を描く。ミニマムな人間を人生を描く。演劇界に向けての演劇ではない。世界に向けた驚くほどチンケで凡庸なドラマ。それがシアターコクーンであっても構わない。ならば「壮大に」ミニマムな人間ドラマを描くだけだ。
<プロフィール>
赤堀雅秋 AKAHORI MASAAKI
1971年8月3日生まれ、千葉県出身。劇作家、脚本家、演出家、俳優。
劇団「THE SHAMPOO HAT」の旗揚げ以来、全作品の作・演出・出演をこなす。人間の機微を丁寧に紡ぎ、市井の人々を描くその独特な世界観は赤堀ワールドと称され、熱狂的なファンを持つ。第57回岸田國士戯曲賞を『一丁目ぞめき』(上演台本)にて受賞。2014年、シアターコクーンにてBunkamura25周年作品の1つとして、『殺風景』(作・演出)を発表、そして2015年も『大逆走』(作・演出)を公演し、最も勢いのある劇作家として注目を集めている。初監督作品『その夜の侍』(12)では同年の新藤兼人賞金賞、ヨコハマ映画祭・森田芳光メモリアル新人監督賞を受賞。モントリオール世界映画祭(ファースト・フィルム・ワールドコンペティション部門)、ロンドン映画祭(ファースト・フィーチャー・コンペティション部門)、台北金馬奨映画祭などに正式出品され、各方面で話題になった。
2016年6月18日より監督第二作目『葛城事件』(三浦友和主演)が公開。