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愛と「私」を探し求めた果てにあるもの
鬼才ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの幻の2傑作が遂に日本劇場初公開!
<上映作品>
『少しの愛だけでも』
『デスペア 光明への旅』
ヴェルナー・ヘルツォーク、アレクサンダー・クルーゲ、そしてヴィム・ヴェンダースと並び「ニュー・ジャーマン・シネマ」を代表するライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。従来のモラルや映画の規範を過激に飛び越えたファスビンダーは、1970年代、破竹の勢いで時代の寵児へと登り詰めていった。その中で、愛という名の「支配と搾取」を冷徹に暴き出した『少しの愛だけでも』とナチス台頭期のベルリンを舞台に他者になり替わろうと完全犯罪を目論む男を描いた『デスペア 光明への旅』は、彼の毒烈な作家性が最も鮮明になった到達点である。
2作品の発表から長い年月が経過した、2026年。絶え間なく紛争が続き、社会は不穏に揺れている。そんな時代に、愛とは? 「私」とは? 今、改めてこの2作と対峙することは、私たちの視界を——決して優しくはないが、確かな強度をもって——開かせてくれる、痛烈な映画体験となるだろう。
<作品情報>
『少しの愛だけでも』
出演:ヴィートス・ツェプリヒャール、エルケ・アーベルレ、アレクサンダー・アラーゾン
1975-76年 | 西ドイツ | カラー | 105分 | PG12
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若くして結婚したふたり、満たされぬ心が運命を狂わす
監督の少年時代を投影させた隠れた傑作

愛の搾取を痛烈に描いた名篇。原作はクラウス・アンテスとクリスティアーネ・エアハルトによる実在の犯罪事例を記録した『無期懲役』。脚本はファスビンダー自身が担当。テレビ映画として16ミリフィルムで製作された。
主人公の青年は「他者から愛され、認められたい」という強迫観念から、過剰な献身と労働に身を投じ、精神的に追い詰められていく。ファスビンダーの全キャリアの中で最も私的な作品と評され、彼自身の過酷な少年時代が色濃く投影されている。さらに巨匠ダグラス・サーク監督などのハリウッド・メロドラマから強い影響を受け、ドイツの戦後社会の問題やそこに生きる人々を描き出した。撮影はファスビンダー作品を多く手がけた名手ミヒャエル・バルハウスが担当。ミュンヘンの地下鉄や工事現場などの灰色のインダストリアルな空間と色鮮やかな花束や家具のコントラストが鮮烈な印象を残す。その他、ファスビンダーの元妻のイングリッド・カーフェンら常連キャストの皮肉な出演も注目に値する。
現代社会の裏側にある愛という名の支配構造に狂わされていく人間の本質を鋭く抉る必見の作品。
『デスペア 光明への旅』
1978年カンヌ国際映画祭パルムドール ノミネート
1978年ドイツ映画賞 監督賞、撮影賞、美術賞受賞
出演:ダーク・ボガード、アンドレア・フェレオル、クラウス・レーヴィッチェ
1978年 | 西ドイツ・フランス | カラー | 121分
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ファシズムの時代、完全犯罪を目論む男、崩壊する精神
ナボコフの名作『絶望』の映画化に挑んだ、最大の野心作

ナチス台頭前夜のベルリンを舞台に描く美しき狂気の物語。主人公ヘルマンはチョコレート工場の社長として成功を収めながらも、別の人生を望み、浮浪者の男を自分と瓜二つだと思い込む。別人になり替わろうと完全犯罪を目論む男の異常な犯罪計画と破滅への道程。
原作は名著『ロリータ』で知られる世界的文豪ウラジーミル・ナボコフの長編小説『絶望』。脚本は『未来世紀ブラジル』などで知られるトム・ストッパードが手がけた。映画化不可能と言わしめた小説に果敢に挑み、ファスビンダー初の英語作品として国際市場を狙った最大の野心作。撮影を務めたのはミヒャエル・バルハウス。鏡を多用した流麗なカメラワークと圧倒的な色彩美で、見るものを魅了させる。主人公ヘルマンを演じるのは、ルキーノ・ヴィスコンティ監督作『ベニスに死す』など世界の名作で異彩を放った名優ダーク・ボガード。国際的に高く評価されたイギリスを代表する実力派俳優が、正気を失っていく男を見事に怪演した。
1978年カンヌ国際映画祭パルムドールにノミネート、1978年ドイツ映画賞では監督賞、撮影賞、美術賞を受賞。ファスビンダー自身「生涯の3本」に数える思い入れの強い作品として知られている。














