STORYストーリー
シカゴの不動産会社。営業成績がすべてを決めるその職場では、売れない営業マンは容赦なく切り捨てられる。解雇の危機に追い込まれた男たちは、それぞれが生き残りを懸けて奔走していた。
かつてのトップセールスマン、レヴィーン(堤 真一)は契約につながる有望顧客の名簿を求めてオフィスマネージャーのウィリアムソン(鈴木浩介)に食い下がる。
一方、会社への不満を募らせるモス(池内博之)は、解雇に怯えるアロノー(小松和重)を焚きつけ、顧客名簿を盗み出す計画を持ちかける。
巧みな話術で次々と契約を勝ち取ってきたローマ(濵田崇裕)は、リンク(岩瀬 亮)に土地を売り込もうと迫る。
そんな矢先、事務所が荒らされ、顧客名簿や契約書が盗まれる事件が発生。捜査に乗り出した刑事ベイレン(前川泰之)は内部犯行を疑い、男たちへの事情聴取を始める。
交錯する欲望と疑念。緊迫する駆け引きの果てに、やがてたどり着く真実とは……。


ジョン・ハイダー コメント
私にとって、この『グレンギャリー・グレンロス』は、書かれた当時にもそして現代にも力強く語りかける戯曲です。もちろんこの作品のテーマは、1980年代初頭、劇作家自身が不誠実な不動産会社でアシスタントマネージャーとして働いた経験をもとに生まれたもので、その時代や場所と深く結びついています。しかし同時に、仕事に人生を支配されるような極端なワークライフバランスの崩れという、現代の大都市─、シカゴから東京、そしてその間にあるあらゆる都市に共通する現実とも強く響き合っているのです。
マメットが描く登場人物たちは皆、それぞれよりよい未来へ向かうために「抜け出す道」を探しているように思えます。その道を見つけられるかどうかは本人次第で、実際には多くの人物が最後まで見つけられないのかもしれません。それでもなお、そのもがき続ける姿は実に人間的です。彼らの姿を追ううちに、私たちは否応なく、自分自身や自分の振る舞いをそこに見出すことになるのではないでしょうか。そうした瞬間にこそ、この作品が観客の皆さんとの対話となることを願っています。劇場を後にしたあとも、「もし自分だったらどうしただろう」と問い続けてもらえたら嬉しく思います。そして、マメットは「Always Be Closing(常に契約を決めろ)」という言葉で描いていますが、「成功」とは、本当は何を意味するのかを考えるきっかけになればと願っています。