坂東玉三郎×鼓童!「アマテラス」に続く待望の共演第2弾。
能楽を題材にしたスペクタクル。日本のシアターアートのその先へ――
佐渡を拠点に世界を縦横無尽に活躍する太鼓芸能集団 鼓童。2012年から2016年にかけては歌舞伎俳優で人間国宝の坂東玉三郎を芸術監督に迎え、毎年1作のペースで新作を発表してきた。
玉三郎と鼓童との出逢いは2000年のこと、舞台での共演を望む鼓童に対し玉三郎はまず鼓童単体の舞台「鼓童ワン・アース・ツアースペシャル(2003年)」の演出で応えた。そして両者の距離が近づいた2006年「アマテラス」で共演が実現。この作品は日本神話に題をとり、玉三郎演じるアマテラスと八百万の神々に扮した鼓童が繰り広げる音楽舞踊劇。当代随一の立女形と、日本を代表する和太鼓グループとの共演はたちまち一大センセーションを巻き起こし、翌年には早くも歌舞伎座で再演。そして2013年の再々演では東京・福岡・京都で計67回の全公演がソールドアウトするという伝説の舞台となった。
その「アマテラス」に次ぐ11年ぶりの待望の共演作が、いよいよ2017年5月、オーチャードホールで幕を開ける。15年以上にわたり玉三郎はその自由自在な発想と類い稀なる審美眼で、鼓童のクリエイションに大きな変革をもたらした。メインツアー「ワン・アース・ツアー」や、男性のみのエッジの効いた「打男」などを続けざまに演出、いずれも国内外で高い評価を得てきた。
そして今回のテーマは「幽玄」、まさに玉三郎の本領で、世阿弥が見た世界を「羽衣」、「道成寺」、「石橋」など能の代表演目を題材にして表現することに挑戦する。対する鼓童も600年の月日の中で創り上げられてきた能楽を専門家に学びつつ、世界最高峰の演奏技術と玉三郎の導きによって、これまでの作品群で拡げてきた表現を昇華させ、日本の美意識を鼓童ならではの形で表現しようとしている。玉三郎氏の舞踊が、魂を揺さぶる鼓童の太鼓の響きと、能楽にインスパイアされた妙なる音色と一体になって、奥深くも情感豊かなイマジネーションの新たな地平へといざなうことでしょう。
とはいえ客席の我々は、能に詳しくある必要はない。ただ心を開き「幽玄」の感覚を全身で味わいながら、長い時間をかけて育まれた日本文化が、遥か未来に連なってゆく至福の時間を楽しめばよいだけなのだ。