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ネリーに気をつけろ! ネリー・カプラン レトロスペクティヴ

12/26(金)よりロードショー予定
会場:Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下
※渋谷駅前 東映プラザ内に移転し営業しております。 Bunkamuraはオーチャードホールを除き長期休館中です。

©1969 Cythère films – Paris,©1971 Cythère films – Paris,©1979 Cythère films – Paris,©1991 Cythère films - Les studios de Boulogne - Pathé cinema

「人が“女性向けの映画”と言うとき、それは既に軽蔑的なのだ」

ヌーヴェルヴァーグの周縁で見落とされていたシネアスト、ネリー・カプラン
パブロ・ピカソを仰天させた、不世出の映画作家ネリー・カプランの傑作群、一挙上映!

<上映作品>
『海賊のフィアンセ』
『パパ・プティ・バトー』
『シャルルとリュシー』
『愛の喜びは』

 1931年、アルゼンチンに生を受けたネリー・カプランは、フィルムアーキビストの国際会議のアルゼンチン代表としてフランスを訪れる。まもなく彼女は、フランス映画の名匠アベル・ガンスの知己を得、その映画制作に協力。やがてガンスと袂を分かったカプランは、シュルレアリスム小説家、批評家、ドキュメンタリー作家などのキャリアを経て、長編劇映画作家の道を歩みはじめる。デビュー作『海賊のフィアンセ』(69)はヴェネチア国際映画祭でプレミア上映され、パブロ・ピカソをして「芸術の域まで高められた尊大さ……ルイス・ブニュエルの最高傑作並みの作風だ」と言わしめた。

このデビュー作以来、カプランは保守的な価値観に「抵抗」「反抗」する女性たちを描きつづけた。当時、彼女が監督したフィルムが正当な評価を受けていたとは言いがたい。原題や内容とは無縁の「情欲的」な公開題が付され、商業的には「ポルノ映画」として消費されることもしばしばだった。カプランが描く女性に認められる、家父長制社会の権力勾配を大胆に転覆せしめる奔放さ。それは、今、男性観客の視覚的快楽を充足させる志向性ではなく、現代的な文脈で再評価する時が来ている。2019年にはニューヨークでカプランのレトロスペクティヴが展開され、「『海賊のフィアンセ』は50年を経たいまでも、驚くほど新鮮」(ニューヨーク・タイムズ)などと称賛の声があがった。日本では、昨年東京日仏学院で開催された「フランス映画と女たちPART2」内で『海賊のフィアンセ』が特別上映され、観客たちを熱狂させたことが記憶に新しい。


「オトコ社会のみなさん、笑っていられるのも今のうち」

カプラン作品の魅力は、フィルムを遊び心で満たそうとする快活な演出にもある。せわしなく動きつづける人々、燃えあがる小屋、滑稽きわまりない乱闘、マヌケで官僚的な男たち……。カプランが描く奇抜で、愉快で、残酷な万華鏡的世界は、作品とその主題を教条主義の檻に閉じ込めず、観る者を興奮させ勇気づける挑発性とエンターテインメント性に満ちている。彼女が映画において破壊し、撹乱し、ひっくり返してみせたもの。それは、わたしたちが生きる現実世界にほかならない。

破 壊 的 喜 劇 闘 争、開 始!
驚きと先進性に満ち溢れた、必見の4作品

ヌーヴェルヴァーグを支えた俳優の一人、ベルナデット・ラフォンが主演し、カプランが「現代の魔女の物語」と語る長編監督デビュー作『海賊のフィアンセ』。ギャング一味に誘拐された令嬢クッキーが千変万化の“顔芸”で躍動する『パパ・プティ・バトー』。エリック・ロメールに先駆けて“アレ”を画面に捉えたスラップスティック・ロードムービー『シャルルとリュシー』。とある南国の孤島を舞台に、裕福な三世代の女たちが文学者の男を手玉に取って翻弄する『愛の喜びは』。決して見逃せないラディカルな才能が、半世紀の時を超え<発見>される! 


◆上映作品◆

『海賊のフィアンセ』
保守的な村社会から除け者にされるマリーと母。母の死をきっかけに、マリーは村人たちを相手に売春行為をはじめる。男たちを利用して稼いだ金を、必要のない商品の購入で浪費し、彼女のあばら家はモノであふれていく。トリュフォー『私のように美しい娘』、ユスターシュ『ママと娼婦』などで知られるベルナデット・ラフォン主演。ピカソは本作を「ルイス・ブニュエルの最高傑作並みの作風だ」と称賛。カプラン曰く「異端審問官たちを火刑にする現代の魔女の物語


1969年|フランス|カラー|107分|原題:La fiancée du pirate
監督:ネリー・カプラン/脚本:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー、ミシェル・ファブル/撮影:ジャン・バダル/音楽:ジョルジュ・ムスタキ/主題歌:バルバラ“Moi, je me balance”/製作:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー
出演:ベルナデット・ラフォン、ジョルジュ・ジェレ、アンリ・ザルニアック、ルイ・マル、クレア・モーリア、ジュリアン・ギオマール、パスカル・マゾッティ、ジャック・マラン、ミシェル・コンスタンタンほか
©1969 Cythère films – Paris

 

『パパ・プティ・バトー』
マルクとその一味は、鈍くさいギャング集団。彼らは大富豪の令嬢クッキーを誘拐する。しかし聡明で蠱惑的なクッキーは、ギャングの構成員を次々と誘惑し、彼らを骨抜きにしていく。そこを付け狙う第三者まで現れ、狂おしいほど滑稽な抗争に発展する。タイトルは童謡 “Maman les petits bateaux”(ママ、小さなお船は)をもじったもの。ミシェル・ブーケ、ミシェル(マイケル)・ロンズデールら名優が脇を固める。 


1971年|フランス|カラー|102分|原題:Papa les petits bateaux...
監督:ネリー・カプラン/脚本:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー、ルネ・ギョネ/原作:ジャン・ラボルド “Bande de raptés”/撮影:リカルド・アロノヴィッチ/音楽:アンドレ・ポップ/製作:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー
出演:シーラ・ホワイト、ミシェル・ブーケ、ジュディット・マーレ、ミシェル・ロンズデール(マイケル・ロンズデール)、ピエール・モンディ、シドニー・チャップリンほか
©1971 Cythère films – Paris

 

『シャルルとリュシー』
シャルルとリュシーの年老いた夫婦は、それぞれ掃除人と無能な骨董品商として、慎ましく暮らしていた。しかしある日、南仏の豪邸を相続したとの知らせを受け、退屈な日常は一変していく。ふたりはさっそく南仏へ向かうが、目当ての豪邸はなかなか見つからず!? エリック・ロメールより数年早く”アレ”を画面に捉えた、スラップスティック・ロードムービー!カプランが占い師役で出演。

 
1979年|フランス|カラー|98分|原題:Charles et Lucie
監督:ネリー・カプラン/原案:ジャン・シャポー/脚本:ネリー・カプラン、ジャン・シャポー、クロード・マコフスキー/撮影:ジルベール・サンドス/音楽:ピエール・ペレ/製作:ジャン・シャポー、クロード・マコフスキー
出演:ダニエル・チェカルディ、ジネット・ガルサン、ジョルジュ・クレース、ネリー・カプランほか
©1979 Cythère films – Paris

 

 『愛の喜びは』
文学者ド・ビューラドールは、裕福な一族から家庭教師の仕事を得、南国の孤島へ招聘される。雇い主は妖艶な3人の女。ドー、その娘クロ、クロの娘ジョー。生徒はジョーの妹で13歳のフロだが、外国にいるらしい。やがて三世代の女たちは各々、この新任家庭教師を誘惑していく。そして、ド・ビューラドールは、まだ出会ってもいないフロに心を奪われて……。カプラン、最後の監督作品。

 
1991年|フランス|カラー|106分|原題:Plaisir d'amour
監督:ネリー・カプラン/脚本:ネリー・カプラン、ジャン・シャポー/撮影:ジャン=フランソワ・ロビン/音楽:クロード・ボラン/製作:ジャン・シャポー、クロード・マコフスキー
出演:ピエール・アルディティ、フランソワーズ・ファビアン、ピエール・デュクス、ドミニク・ブラン、セシル・サンス・デ・アルバ、ハインツ・ベネント、ジャン=ジャック・モローほか
©1991 Cythère films - Les studios de Boulogne - Pathé cinema 


ネリー・カプラン(1931-2020)
1931年4月11日、ブエノスアイレスに生まれる。ブエノスアイレス大学で経済学を学ぶも、映画への関心からパリへ飛び立つ。1954年、映画監督のアベル・ガンスと出会い、『マジラマ/戦争と平和』(57 ※2025年のカンヌ国際映画祭「カンヌ・クラシックス」で上映)を共同監督する他、『ナポレオン/アウステルリッツの戦い』(60)の脚本・助監督としての参加など協力関係を深めた。以後、いくつかの短編映画作品を監督。1969年に長編劇映画第1作となる『海賊のフィアンセ』が公開。以降、『パパ・プティ・バトー』(71)、『シビルの部屋』(76、日本公開は77年)、『シャルルとリュシー』(79)を発表。1983年にはドキュメンタリー『アベル・ガンスと彼のナポレオン』を監督し、翌年のカンヌ映画祭・ある視点部門で上映。1991年に長編劇映画第5作であり、最後の監督作となった『愛の喜びは』が公開。1994年、ボストン美術館、シカゴ美術館、ワシントン・ナショナル・ギャラリーが、カプランのレトロスペクティヴを開催。2019年、ニューヨークのQuad Cinemaがカプランのレトロスペクティヴを開催し、『海賊のフィアンセ』レストア版ほか7作品が上映され、その同時代性が<再発見>された。ペンネーム「ベレン(Belen)」でのシュルレアリスム小説の執筆など、著作多数。2020年11月12日、新型コロナウイルスに罹患し、死去。

提供
東映ビデオ
配給
グッチーズ・フリースクール

公式サイトはこちら

上映スケジュール

12/26(金)よりロードショー予定

概要

料金

<各作品 料金>
一般¥2,000 学生¥1,500(平日は学生¥1,200) シニア¥1,300 小・中・高校生¥1,000 障がい者手帳をお持ちの方(介助者1名様まで)¥1,000(税込)
【毎月1日、毎週火曜日は¥1,200(税込)均一】
※株主優待券は12/29(月)よりご利用いただけます。

チケットガイド

会場

Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下

東京都渋谷区渋谷1-24-12 渋谷東映プラザ 7F&9F(1F:チケットカウンター)

アクセス

※渋谷駅前 東映プラザ内に移転し営業しております。 Bunkamuraはオーチャードホールを除き長期休館中です。

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