
〈Threads of Beauty〉シリーズより
高木由利子《India, 2004》 © Yuriko Takagi
Bunkamuraが参画する渋谷の街を舞台にしたイベント「渋谷ファッションウィーク」では、これまで2回にわたりBunkamuraの建築を使ったアートインスタレーションのプロジェクトを行い、好評を博しました。
3回目となる今回は、京都・二条城で開催したKYOTOGRAPHIEでの展示(2023年)や、クリスチャン・ディオールとのコラボレーションも記憶に新しい写真家・高木由利子の〈Threads of Beauty〉シリーズに焦点を当てた写真展を開催。展示構成を、場所が持つ「記憶」を掘り起こし、未来へとつなぐ建築家・田根剛が手がけます。
ファッションとは何か―。
その壮大な問いの本質を追い求め、世界各地の伝統的な衣服をまとい生きる人々の日常を、写真家・高木由利子が30年間にわたり撮り歩いた〈Threads of Beauty〉シリーズ。本展では、その集大成の中から精選した作品をご紹介します。
高木は英国・Trent Polytechnicを卒業しファッションデザイナーとして活動ののち、写真家へ転身します。当初は風景やヌードを主題としていましたが、やがてファッションブランドとの仕事にも携わるようになります。なかでもディオールのアーカイブピースを独自の視点で捉えた作品群は、写真と衣服との関係性に新風を吹き込みました。近年では、自然現象の不可思議さに焦点を当てた〈chaoscosmos〉シリーズを発表するなど、その活動は多岐にわたります。
衣服や人体を通して、自然界の一部としての「人の存在」を見つめ続ける高木の試みの中でも、本展で展覧する〈Threads of Beauty〉はとりわけ長期間に及ぶ根幹的なプロジェクト。日本における着物のように、世界各地の伝統服が日常生活の場から姿を消しつつある現状を、高木は惜しみつつも、現代の生活様式へと移行する上での自然な営みとして受け入れています。何より高木は〈Threads of Beauty〉を民俗史的な記録としてではなく、被写体となった人々の文句なしの「格好良さ」に魅せられて撮影しています。「格好良さ」の追求は、すなわちアイデンティティの探索でもあり、それは渋谷であれ、世界のどこであれ、さらには時代をも超えるいわば永遠の命題とも言えるでしょう。
ザ・ミュージアム現展示室における最後の展覧会
「Shibuya Upper West Project」(2029年度竣工予定)における新施設への拡大移転を控えているザ・ミュージアムは、Bunkamura休館中(一部の施設を除く)、引き続き代替施設における活動を続けてまいりますが、テーマ性・先見性・話題性を重視した多彩なジャンルの企画展を開催してきた現展示室での展覧会は本展が最後となります。約40年にわたりアートとの出会いを紡いできたザ・ミュージアムの現展示室にお入りいただけるこの貴重な機会をどうぞお見逃しなく。
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高木由利子 Yuriko Takagi

(C)︎ Shinnosuke Miyachi
東京生まれ。武蔵野美術大学にてグラフィックデザイン、イギリスのTrent Polytechnic にてファションデザインを学んだ後、写真家として独自の視点から衣服や人体を通して「人の存在」を撮り続ける。近年は自然現象の不可思議にも深い興味を持ち、〈chaoscosmos〉というプロジェクトを映像を含め新たなアプローチに挑戦し続けている。
田根剛 Tsuyoshi Tane

photo: Yoshiaki Tsutsui
1979年東京生まれ。ATTA - Atelier Tsuyoshi Tane Architectsを設立、2006年より、フランス・パリを拠点に活動。
場所の記憶から建築をつくる「Archaeology of the Future」をコンセプトに、世界各地で多数のプロジェクトが進行中。主な作品に『エストニア国立博物館』、『弘前れんが倉庫美術館』、『アルサーニ・コレクション財団・美術館』、『ヴィトラ・ガーデンハウス』、『帝国ホテル東京・新本館』(2036年完成予定)など。主な受賞に、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞など多数受賞。www.at-ta















