
参考作品
静岡県浜松市に銅工房「アトリエ小市」を構える作家、河合悌市(かわいていいち)。
「小市さん」の愛称で親しく呼ばれるその工房で、40余年、銅を用いた暮らしの雑器をつくり続けています。花器やジョウロなど実用性の高い銅具から身近な動物をモチーフにしたオブジェまで、多岐に渡る作品たち。それらは、工房名の由来“小さな市場”さながらに親しみ深く愉快に日常を彩ることで、日本各地のファンを魅了し、愛され続けています。
15歳の少年だった作家は、油画を学ぶために上京。東京での活動の中で鍛金と出会います。独学で鍛金技術を習得し、「アトリエ小市」を設立。のちに工房を故郷に移します。そして還暦を迎えた今もなお、銅と向き合い続けています。
トンカン、トンカンと、銅を叩く職人としての日々。そして、そんな日々をおもしろおかしく愉快に送る人生。確かな腕でつくられた銅具からは、生真面目でありながらユーモア溢れる、作家の人間味が滲み出るかのようです。
使うほどに「思い入れ」を感じるのが一点物の作品の醍醐味。それはきっと、つくり手の想いが込められているからなのでしょう。大きな口を開けて笑う猫やネズミらのモチーフたちをじっくり見つめれば、いたずらな笑みのむこうに作家の想いを感じられるかも知れません。ぜひ、アトリエ小市の愉快な銅具に逢いにいらして下さい。