
古典はいつも新しい――
デジタルリマスターされ美しい画質で蘇るサタジット・レイの傑作群!
黒澤明、マーティン・スコセッシ、フランシス・フォード・コッポラ、ウェス・アンダーソン……世界の巨匠たちが敬愛してやまない映画界の巨人サタジット・レイの全貌が、ついに見えてくる!
監督デビュー70周年、世界的映画監督でありながら、まだ全貌が明らかにされているとは言い難いサタジット・レイの偉業と魅力を発見する、またとないチャンス!
◆上映作品◆
『音楽サロン デジタルリマスター』(日本劇場初公開)
世界中の映画製作者に影響を与えた、レイ監督の芸術性と映像美が際立つ傑作。音楽監督はシタール奏者の巨匠ヴィラーヤト・カーンが務め、演奏会以外の場面でも有名演奏家が多数出演している。
1958年/原題:Jalsaghar/英語題:The Music Room/100分
製作・監督・脚本:サタジット・レイ/原作:タラションコル・ボンドバッダエ/撮影:シュブロト・ミットロ
出演:チョビ・ビッシャシュ、ゴンガポド・ボシュ、カリ・ショルカル
COPYRIGHT 1956/ALL RIGHT RESERVED ANJAN BOSE
『ビッグ・シティ デジタルリマスター』
レイ監督が初めてネオリアリズムへの挑戦を試みた作品であり、物語は1955年当時のコルカタの日常を描く。貧しい下層・中流階級を襲う社会経済的な苦悩に焦点を当て、それを主人公女性の自立を通じて表現している。
1963年/原題:Mahanagar/英語題:The Big City/136分
ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)受賞
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/原作:ノレンドロナト・ミットロ/撮影:シュブロト・ミットロ
出演:ママドビ・ムカルジ、オニル・チャタルジ、ヘレン・チャタルジ
COPYRIGHT 1963/ALL RIGHTS RESERVED KAMAL BANSAL
『チャルラータ デジタルリマスター』
愛、理想主義、失望、そして悲哀への賛歌である本作。レイ監督が手掛けた中で最も優美な作品であり、監督の創造期と言われる1960年代に撮られた最高傑作のひとつ。
1964年/原題:Charulata/英語題:Charulata/119分
ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)受賞
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/原作:ラビンドラナート・タゴール/撮影:シュブロト・ミットロ
出演:マドビ・ムカルジ、ショウミットロ・チャタルジ、ショイレン・ムカルジ
COPYRIGHT 1964/ALL RIGHTS RESERVED KAMAL BANSAL
『臆病者 デジタルリマスター』(日本劇場初公開)
家族、結婚、男尊女卑、階層といった旧来の価値観と、個人の自由や愛、自己決定といった新しい価値観がぶつかり合う。伝統と近代化の岐路に立つインド社会に対するレイ監督の鋭い観察が投影された作品。
1965年/原題:Kapurush/英語題:The Coward/70分
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/原作:プレメンドロ・ミットロ/撮影:ショウメンドゥ・ラエ
出演:ショウミットロ・チャタルジ、マドビ・ムカルジ、ハラドン・バナルジ
COPYRIGHT 1965/ALL RIGHTS RESERVED KAMAL BANSAL
『聖者 デジタルリマスター』(日本劇場初公開)
コメディ映画の体裁を取りつつ、宗教的偽善や盲目的な信仰を鋭く風刺し、狂信的信仰を戒めている。『臆病者』と同じく、本作でも伝統と近代化に対するレイ監督の鋭い考察が光る。
1965年/原題:Mahapurush/英語題:The Holy Man/67分
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/原作:ラジシェコル・ボシュ (ポロシュラム)/撮影:ショウメンドゥ・ラエ
出演:チャルプロカシュ・ゴーシュ、ロビ・ゴーシュ
COPYRIGHT 1965/ALL RIGHTS RESERVED KAMAL BANSAL
『主人公 デジタルリマスター』(日本劇場初公開)
映画俳優である主人公アリンダムの危機や内省を通して、映画業界の問題(軽薄な娯楽作品の量産、商業主義、そして腐敗したビジネス慣行)を巧みに批判した作品。
1966年/原題:Nayak/英語題:The Hero/117分
ベルリン国際映画祭 審査員特別表彰
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/撮影:シュブロト・ミットロ/編集:ドゥラル・ドット
出演:ウットム・クマル、ショルミラ・タクル(ヒンディー語読み:シャルミラー・タゴール)、ニルモル・ゴーシュ
COPYRIGHT 1966/ALL RIGHTS RESERVED KAMAL BANSAL
『エレファント・ゴッド デジタルリマスター』(日本劇場初公開)
レイ監督自身による小説「探偵フェルダーシリーズ」を元に映画化された第2作目。主人公の探偵がその高い分析力と洞察力で事件を解決に導く、エンターテイメント性に富んだテンポのよい冒険コメディ。
1979年/原題:Joi Baba Felunath/英語題:The Elephant God/122分
監督・原作・脚本・音楽:サタジット・レイ/撮影:ショウメンドゥ・ラエ/編集:ドゥラル・ドット
出演:ショウミットロ・チャタルジ、ショントシュ・ドット、シッダルト・チャタルジ
COPYRIGHT 1979/ALL RIGHTS RESERVED KAMAL BANSAL
Photo by Tamaki MATSUOKA
サタジット・レイ(1921-1992)
1921年5月2日、インドのコルカタ生まれの映画監督、脚本家、作曲家、小説家、カリグラファー、イラストレーター。ベンガル地方屈指の名家・レイ家の出身で、詩人で画家の祖母と、文学者であり画家でもあった父シュクマル・レイの影響を強く受けて育つ。コルカタ大学では経済学を専攻し、その後、ノーベル文学賞にも輝く詩人ラビンドラナート・タゴールが創設したサンティニケタン大学に進学し、タゴールから深い芸術的・思想的影響を受ける。1942年からはイギリス系の広告会社にて広告デザイナーとして活動する傍ら、映画への情熱を育む。1949年には「カルカッタ(コルカタ)・フィルム・ソサエティ」の創設に参加。同年、ジャン・ルノワールが『河』の撮影のためインドを訪れた際に彼のアシスタントを務め、またヴィットリオ・デ・シーカやルキノ・ヴィスコンティらのネオレアリズモ映画に触発され、自らの映画制作を決意する。1951年に処女作『大地のうた』の制作に着手。1955年に完成させ、翌年カンヌ国際映画祭でベストヒューマンドキュメント賞を受賞。その後も、オプー三部作として知られる『大河のうた』、『大樹のうた』を完成させ、名声を不動のものとする。その生涯で30本を超える映画を制作し、インド映画界のみならず世界中の映画人に計り知れない影響を与えた。彼の作品は人間の本質に迫る深い洞察と、詩的な映像、音楽のセンスによって、今なお色褪せることがない。