オールメール&関西弁という異色のロミジュリが帰ってくる!
鄭 義信流シェイクスピアが5年越し待望の再演!
『焼肉ドラゴン』や舞台『パラサイト』をはじめ数々の話題作を手掛ける劇作家・演出家の鄭 義信が、2020年にシアターコクーン初進出作として書き下ろした『泣くロミオと怒(いか)るジュリエット』。この度2025年版として待望の再演が決定しました。
シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を、物語の舞台を鄭自身のルーツである関西の戦後の港町に、セリフを全編関西弁に大胆に翻案した本作。キャストは全員男性(オールメール)という異彩を放つ設定でありながら、二人の若者の恋物語と時代を生きるならず者たちの抗争劇に、人種や国どうしの差別・格差などの普遍的なテーマを巧みに織り込み、笑いと涙で観客の心を鷲掴みにしました。
WEST.桐山照史のロミオ、柄本時生のジュリエット再び!
関西の戦後の港町ヴェローナで繰り広げる純粋で無垢な究極のラブストーリー
本作のタイトルロールであるロミオとジュリエットを演じるのは、初演から続投となる桐山照史と、柄本時生。かつては愚連隊“モンタギュー”に所属しながらも更生し、屋台で働く真面目な青年ロミオを桐山が、そして、愚連隊“キャピレット”のリーダーの妹で田舎から都会に出てきた、心根が真っ直ぐで優しいジュリエットを柄本が演じます。吃音症に悩む奥手で泣き虫のロミオと、ダメ男に貢ぐ癖があり気が強いジュリエットという、初演でも多くの反響を呼んだ“世界一不器用なロミオとジュリエット”が5年の時を経て帰ってきます!
共演は、ロミオの父親代わりであり町で診療所を営むローレンスに渡辺いっけい、ジュリエットの兄ティボルトとその内縁の妻ソフィアは初演から引き続き高橋 努と八嶋智人、ロミオの親友ベンヴォーリオに浅香航大、モンタギューの筆頭メンバー・マキューシオに泉澤祐希、キャピレットの若頭ロベルトに和田正人、愚連隊に圧力をかける警部補に市川しんぺー、巡査に中山祐一朗、傷痍軍人でアコーディオン奏者に初演から続投の朴 勝哲と、個性と実力を兼ね備えた新たな布陣で、本作が蘇ります。
誰もが思い描くラブストーリーとは一線を画す鄭 義信版『ロミオとジュリエット』。鄭ならではの目線で描く、初めての恋に突っ走る若い二人と、それを取り巻く不器用に生きる人々の純愛群像劇にどうぞご期待ください!
工場から出る黒い煙と煤に覆われた鉛色の町。その空気をさらに不穏にしているのは、顔を合わせる度に揉め事を起こす二つの愚連隊“モンタギュー”と“キャピレット”だった。
“モンタギュー”の元メンバーで、今は更正してカストリ屋台で働く奥手でまじめな青年ロミオ。ロミオの親友で、聡明で理知的なべンヴォーリオと、正反対に喧嘩っ早くいつも問題を起こす張本人のマキューシオ。三人はそれぞれに、今の時代や自分の境遇に悩みや閉塞感を感じていた。そんな日々の憂さ晴らしに三人が出かけたダンスホールで、田舎から出てきたばかりのジュリエットに出会い、ロミオは人生で初めての恋に落ちる。しかしジュリエットはなんと、敵対する“キャピレット”のリーダー・ティボルトの妹だったのだ……!
そんなことはお構いなしに燃え上がる二人の恋。ロミオは白頭山東洋治療所の店主で父親のような存在のローレンスに相談するが……。
二人を取り巻く様々な人物と共に、町は大乱闘に巻き込まれていく……。
5年を経て、我らが桐山ロミオと柄本ジュリエットはそのままに、強力な仲間も新たに迎えての再創作が実現! そのことを誰よりも喜んでいるのは、間違いなく僕自身です。
悲恋物として知られる『ロミオとジュリエット』。でも僕は、若い二人の道行の背景にある社会的な差別と分断の構造や、人の心を蝕む理由なき憎悪の蔓延を作品の軸にしたいと考えました。
損得ばかりを追求し、弱い者を排除しようとする息苦しい空気が5年前よりさらに世間に濃く広がる今。生まれ直す今作を一人でも多くのお客様にご覧いただき、困難の中でも近しい人と想い合う気持ちをご自身の中に確かめていただければ幸いです。もちろん僕の作品ですから、笑える場面もたくさんありますので安心して劇場へお運び下さい!
<プロフィール>
1994年に『ザ・寺山』で第38回岸田國士戯曲賞を受賞。2008年に舞台『焼肉ドラゴン』で第8回朝日舞台芸術賞グランプリ、第12回鶴屋南北戯曲賞、第16回読売演劇大賞大賞・最優秀作品賞、第59回芸術選奨文部科学大臣賞、韓国演劇評論家協会の選ぶ2008年今年の演劇ベスト3、韓国演劇協会が選ぶ今年の演劇ベスト7など数々の演劇賞を総なめにした。2025年10月には4度目の上演が控えている。演劇界で活躍する一方、映画界にも進出し、1993年に『月はどっちに出ている』の脚本で、毎日映画コンクール脚本賞、キネマ旬報ベスト・テン脚本賞などを受賞。1998年には『愛を乞うひと』でキネマ旬報脚本賞、日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第1回菊島隆三賞、アジア太平洋映画祭最優秀脚本賞など数々の賞を受賞した。2018年に『焼肉ドラゴン』の映画化で初監督を務める。2014年春の紫綬褒章受章。
近年の主な作・演出作品に『白い輪、あるいは祈り』『キネマの大地』(25)、音楽劇『A BETTER TOMORROW -男たちの挽歌-』(24)、『パラサイト』『歌うシャイロック』(23)、『てなもんや三文オペラ』(22)など。また、2022年に自身の劇団「ヒトハダ」を立ち上げ、これまでに3作品を上演。
と同時に、当時の精一杯取り組んだ自分の熱量や、当時いただいたご好評を越えられるのかと、不安に感じたのも事実です。ロミオはあらゆる感情を体現する役で、心身共に非常にハードでした。しかも、感染症禍のため東京公演後半で上演中断となり、現地でゲネプロまでしたのに大阪公演は全公演中止。だからこそ、あの時から待ち続けて下さるお客様はもちろん、新たにご来場下さるお客様にも絶対にこの作品を届けたいという使命感が不安を越えました。今持てるもの全てを注ぐ2025年版を、是非目撃していただきたいと思っています‼
鄭 義信さんは、稽古過程で存分に悩むことを楽しむ僕とは逆に、ズバリと正解を提示してグングン創作を進めていく演出家さん。そのスピードが飲み込めず最初は戸惑いましたが、初日のカーテンコールでのアツい拍手を聞き、作品がいかによくお客様に伝わったかを実感できたんです。自分にとっての芝居づくりの幅がグッと広がった気がしました。
何よりロミオとして、僕のジュリエットを受け止め愛してくれた桐(山照史)クンとの出会いはサイコーに嬉しい出来事。今回もお話をいただいてすぐ、お互いの気持ちを確かめ合いました(笑)。
最高の仲間と創る2025年版『泣くロミオと怒るジュリエット』。5年を経て増したオバ味を武器に、熟成したジュリエットをお届けしたいと思います!