
© 「長岡映画」製作委員会 PSC 2011
世界中の爆弾が花火に変わったら、きっとこの世から戦争はなくなる。
市井の人々の”勇気と祈り”で平和を作り、何度でも蘇り復興を遂げてきた町、長岡。
いま、ひとつの、とてつもなく壮大な物語世界<ワンダーランド>の花が夜空に咲く
『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』の尾道三部作や『異人たちとの夏』等数々の名作を世に送り出し、「古里映画」の名手として知られる大林宣彦監督。その大林監督が2009年に長岡まつり大花火大会を見学し、長岡花火が「戦禍を忘れぬ」追悼の花火であると知り、市民とともに映画化したのが、『この空の花―長岡花火物語』(2011)です。
1945年の長岡空襲と、その慰霊、復興と平和への祈りを込めて毎年開催される長岡まつり大花火大会。過去と現在が大林監督の手によって大胆に、そしてファンタジックに重ねられ、数々の戦渦や災害を乗り越えてきた長岡の歴史と美しい風土を描き出します。
2020年に惜しくもこの世を去ったあとも、国内にとどまらず世界的な影響力を高め続け、いまなお多くの人に愛される大林宣彦監督。そのキャリアのなかでも圧巻の傑作として名高く、平和への深い祈りが込められた『この空の花―長岡花火物語』を、戦後80年を迎えるこの夏、そして今年も8月の2日と3日に開催される長岡まつり大花火大会を前にスクリーンで観る貴重な再上映となります。
【STORY】
天草の地方紙記者・遠藤玲子が長岡を訪れたことには幾つかの理由があった。ひとつは中越地震の体験を経て、2011年3月11日に起きた東日本大震災に於いていち早く被災者を受け入れた長岡市を新聞記者として見詰めること。そしてもうひとつは、何年も音信が途絶えていたかつての恋人・片山健一からふいに届いた手紙に心惹かれたこと。
山古志から届いた片山の手紙には、自分が教師を勤める高校で女子学生・元木花が書いた『まだ戦争には間に合う』という舞台を上演するので玲子に観て欲しいと書いてあり、更にはなによりも「長岡の花火を見て欲しい、長岡の花火はお祭りじゃない、空襲や地震で亡くなった人たちへの追悼の花火、復興への祈りの花火なんだ」という結びの言葉が強く胸に染み、導かれるように訪れたのだ。
こうして2011年夏。長岡を旅する玲子は行く先々で出逢う人々と、数々の不思議な体験を重ねてゆく。そしてその不思議な体験のほとんどが、実際に起きた長岡の歴史と織り合わさっているのだと理解したとき、物語は過去、現在、未来へと時をまたぎ、誰も体験したことのない世界へと紡がれてゆく!