オールメール&関西弁!! 鄭義信流シェイクスピアに桐山照史×柄本時生が挑む!
名作を大胆に翻案した戦後の混乱期を生きる人々の純愛群像劇
関西の戦後の港町ヴェローナで繰り広げられる純粋で無垢な究極のラブストーリー
『泣くロミオと怒るジュリエット』は、鄭 義信のBunkamuraシアターコクーン初進出作となります。2008年に上演した『焼肉ドラゴン』で演劇賞を総なめにし、10年後の2018年には自身が監督を務め同作を映画化。他にも『月はどっちに出ている』『愛を乞うひと』の脚本などで高い評価を得るなど、演劇に留まらず、幅広く活躍する鄭の新作戯曲に高い期待が集まります。
社会派からコメディまで数多くの作品で高い評価を得ている鄭が題材とするのは、シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』。ただし、物語の舞台は自身のルーツである関西の戦後の港町、せりふは全編関西弁、キャストは全員男性と、誰もが思い描くラブストーリーとは一線を画す作品になることは間違いありません。鄭ならではの目線で、初めての恋に突っ走る若い2人と、それを取り巻く不器用に生きる人々の純愛群像劇が繰り広げられます。
本作のタイトルロールであるロミオとジュリエットを、ジャニーズWESTの桐山照史と柄本時生が務めます。ドラマ・映画・舞台とジャンルを問わず様々な作品に出演し、硬軟演じ分け高い評価を得ている桐山が演じるのは、かつては愚連隊“モンタギュー”に所属しながらも更生し、屋台で働く真面目な青年ロミオ。そして個性的な風貌と異彩を放つ存在感で幅広い役を演じ、どの作品にも強烈なインパクトを残す柄本が演じるのは、田舎から都会に出てきた、心根が真っ直ぐで優しいジュリエット。この2人がこれまでにない新たな『ロミオとジュリエット』を創り上げます。
共演は、ロミオの父親代わりで町で診療所を営むローレンスに段田安則、ジュリエットの兄ティボルトに高橋 努、その内縁の妻ソフィアに八嶋智人、モンタギューの筆頭メンバー・マキューシオに元木聖也、ロミオの親友ベンヴォーリオに橋本 淳、キャピレットの若頭ロベルトに岡田義徳、愚連隊に圧力をかける警部補を福田転球、巡査をみのすけ、傷痍軍人のアコーディオン奏者に朴 勝哲と、個性と実力を兼ね備えた布陣が実現しました。
誰も見たことのない、アツくて笑えて泣けるロミジュリ。2020年前半の話題をさらうこと間違いなしの新作に、どうぞご期待ください。
作・演出:鄭 義信
工場から出る黒い煙と煤に覆われた鉛色の街。その街の空気をさらに不穏にしているのは、顔を合わせる度に揉め事を起こす2つの愚連隊“モンタギュー”と“キャピレット”だった。
“モンタギュー”の元メンバーで、今は更正してカストリ屋台で働く奥手でまじめな青年ロミオ。ロミオの親友で、喧嘩っ早くいつも問題を起こす張本人のマキューシオと、正反対に聡明で理知的なべンヴォーリオ。3人はそれぞれに、今の時代や自分の境遇に悩みや閉塞感を感じていた。そんな日々の憂さ晴らしに3人が出かけたダンスホールで、田舎から出てきたばかりのジュリエットに出会い、ロミオは人生で初めての恋に落ちる。しかしジュリエットはなんと、敵対する“キャピレット”のリーダーティボルトの妹だったのだ…!
そんなことはお構いなしに燃え上がる2人の恋。ロミオは白頭山東洋治療所の店主で父親のような存在のローレンスに相談するが…。2人を取り巻く様々な人物と共に、街は大乱闘に巻き込まれていく…。
オールメールにしたのはシェイクスピアへの敬意と、憧れの劇場シアターコクーンで長く芸術監督を務め、演劇の楽しさと先鋭的な表現を両立させた作品を創り続けた故 蜷川幸雄さんへのリスペクトから。さらに自分の得意な関西弁地域に場を設定し、関西出身の方もそうでない方も入り混じる、濃ゆい俳優さんたちにお集まりいただきました。
桐山照史さんと柄本時生さん。高すぎるハードルの二人がどんな恋に落ちるか、どうぞご期待ください!
鄭さんの様々なアイデアで翻案され、しかも自分がネイティブで使っている言葉で語られる『ロミジュリ』は、血肉の通ったドラマになるはず。グッとくるところはもちろん、笑える場面もしっかりありそうなので、鄭さんの世界にたっぷり浸り、作品の一部として舞台上で生きられたらと思っています。
ちなみに、時生さんとご一緒することで父・明さん、兄・佑さんに続く柄本家男性陣との共演がコンプリートになることも、嬉しいポイントです。
シェイクスピアは江本純子さん演出の『じゃじゃ馬馴らし』、東京乾電池で父が演出して上演を重ねる『夏の夜の夢』に出演したことがあります。どちらもかなりひねった上演で、その点では今回の鄭 義信版に、むしろ近いシェイクスピア体験をしているのかも……。
鄭さんが描くジュリエットは、見た目より内面の美しさが問われる女性なのではないでしょうか。関西弁は桐山さんに教わりながらせりふに忠実に、繰り返し語る言葉の中に演じるヒントがあると信じて作品に臨みたいと思います。