
© WHITE LEOTARDS
第76回ベルリン国際映画祭ドキュメンタリーアワード選出作品
映画という夢をつくりながら、夢から覚めていく―
映像作家・ダンサー吉開菜央が自身の心と身体に向き合い
あらゆる表現技法を駆使して完成させた野心作
小田香監督『Underground アンダーグラウンド』(2024)に出演し、鮮烈な印象を残した映像作家・ダンサーの吉開菜央。『ほったまるびより』(2015)、『Grand Bouquet』(2019/カンヌ国際映画祭監督週間出品)、『Shari』(2022/ロッテルダム国際映画祭短・中編部門出品)と、映像と身体表現の可能性を探求し、独自の映画世界を磨き上げてきた。
最新作となる『まさゆめ』は、監督が自分自身にカメラを向けたドキュメンタリー映画だ。
吉開菜央は34歳の時、心と体のバランスを崩し、そして続くように、母を突然亡くしてしまう。
その後、訪れた禅寺で「意識が作り出す感情はすべて夢である」と教わり、食べることや呼吸といった身体の根源に立ち返りながら、生きることを捉え直す。誰しもに訪れる親の死と、自身の病。人生の大きな通過点に突然直面したことをきっかけに、日常に起こる小さな喜びや驚きを拾い集めてゆく。身体表現、写真、アニメーション、8ミリフィルム、ホームビデオと、あらゆる映像的手法が積み重ねられ、セルフ・ドキュメンタリーの枠を超えたユニバーサルな視野を持った長編映画として完成した。
今年2月に第76回ベルリン国際映画祭フォーラム部門にて初上映を迎えた本作は、トルコ、スペイン、韓国、アメリカ、台湾と次々に海外映画祭での上映が続き、言語の壁を越えた熱い共感を得て、今秋には北米での劇場公開も決定。身体を通して世界と対話を重ねる本作は、映画という船に乗り、観客の記憶と五感を呼び覚ましながら、それぞれの旅へとひらいていくー。

34歳になった冬、体調を崩したー
母の突然の死。食べて、手を動かし、そして眠って
ひとりの映画作家が世界と対話する方法をもう一度編み出すー
34歳になった冬、吉開は心身のバランスを崩し、そして、この困難な時期に、故郷に住む母を亡くした。
その後、ふとしたきっかけで禅寺に赴き、修行をしようと思い立つ。「意識が作り出す感情はすべて夢である」と教わり、食べることや呼吸といった身体の根源に立ち返りながら、生きることを捉え直す。
誰しもに訪れる親の死と自身の病によって、人生の大きな通過点に突然直面したことをきっかけに、日常に起こる小さな喜びや驚きを拾い集めながら、映画という「夢」をつくり、自分の身に起きたことをあらためて受け入れていく。

監督プロフィール

吉開菜央 / Nao Yoshigai
1987年、山口県生まれ。世界を五感で理解しようとするときに起こる心と身体の変化を踊りと捉え、映画を制作してきた。『ほったまるびより』(2015/第19回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門新人賞)、『Grand Bouquet』(2019/カンヌ国際映画祭監督週間出品)、『Shari』(2022/ロッテルダム国際映画祭短・中編部門出品)等、国内外で高い評価を得ている。 本作は、2026年の第76回ベルリン国際映画祭フォーラム部門にて初上映を迎え、同映画祭の部門を超えて選出されるドキュメンタリーアワードの16作品にノミネートされた。
監督写真クレジット:©Photo_by_Atsuko Chiba
監督コメント
私は、過去の記録を編集し、物語として再構築することで、映画はある種の夢であるとはっきり自覚しました。けれども同時に、その夢の中で、自分の身に起きた出来事を、ただそのまま見つめることができるようになりました。それは、映画という夢をつくりながら、夢から覚めていくような体験でした。
生きることと映画をつくることが、その年のお天道様の機嫌も相まって、思いもよらない形で、まるで「まさゆめ」のように結びついたのだと思います。この映画の体験が、私を超えた誰かの養生になり、それが巡り巡って、少しでも地球の養生につながることを願っています。















