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「もしドアが閉まっていたら 私はもう この世にいない」――
第81回ベネチア国際映画祭最高賞 金獅子賞受賞
病に侵され安楽死を望む女性と、彼女に寄り添う親友のかけがえのない日々
巨匠・アルモドバルが人生の終わりと生きる喜びを描く、世界が沸いた最高傑作
色鮮やかな映像とユーモアにあふれた作品で観客を魅了してきたペドロ・アルモドバル。アカデミー賞外国語映画賞に輝いた『オール・アバウト・マイ・マザー』(99)、アカデミー賞脚本賞を受賞した『トーク・トゥ・ハー』(02)をはじめ映画界に偉大な足跡を残し続ける名匠が贈る最新作は、病に侵され安楽死を望む女性と彼女に寄り添う親友の最期の数日間を描く物語。75歳を超え円熟味を増したアルモドバルが、独自の感性溢れるカラフルな世界観で人生最期のかけがえのない日々を描いた最高傑作が誕生した。
出演は、ウェス・アンダーソン監督作品やジム・ジャームッシュ監督作品の常連として知られ、『フィクサー』(07)でアカデミー助演女優賞に輝いたティルダ・スウィントンと、『アリスのままで』(14)でのアカデミー主演女優賞に加え、世界三大映画祭すべてで女優賞を受賞したジュリアン・ムーア。ふたりのオスカー女優が親友同士を演じ、繊細で美しい友情を体現する。
人生の終焉を迎えようとしているマーサは戦場ジャーナリストとして長い間活躍しており、その性格も情熱的で荒々しく自分に正直。対して小説家として成功したイングリッドは、物静かで思いやりがあり困っている人を見捨てられない性格をもつ。陰と陽のように正反対の女性たちを演じたティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーアの競演が本作の大きな見どころとなっているが、まもなくアワードシーズンに突入するアメリカでは連日のようにノミネート予想がでており、ティルダとジュリアンはどちらも主演女優賞の有力候補として注目されている。
第81回ベネチア国際映画祭でプレミア上映されると、およそ20分間拍手喝采を浴び史上最高の絶賛を受け、見事最高賞である金獅子賞の栄冠に輝いた。「魂を激しく揺さぶられる」(TIME)、「心の奥に深く刻まれる」(Vanity Fair)、「命の輝きを描く物語」(Deadline)と絶賛される本作は、世界中から熱い注目を集めており、本年度映画賞レースをにぎわす作品として期待されている。さらに昨年開催された第37回東京国際映画祭ワールド・フォーカス(ラテンビート)部門でジャパンプレミアを迎えた本作。全3回の上映回がすべて満席となり「アルモドバル史上最高傑作」「二大女優の演技が見事」などと高評価の口コミがSNSに多く投稿された。
重厚なテーマを描きながらも軽やかな語り口で魅せる、人生と友情と死をめぐる優美な人生ドラマ。年々増していくアルモドバル監督の手腕と、二大女優が生み出す演技のハーモニーをぜひ劇場で体験してほしい。
【STORY】
その日、あなたが隣にいてくれたなら――
重い病に侵されたマーサ(ティルダ・スウィントン)は、かつての親友イングリッド(ジュリアン・ムーア)と再会し、会っていない時間を埋めるように病室で語らう日々を過ごしていた。治療を拒み自らの意志で安楽死を望むマーサは、人の気配を感じながら最期を迎えたいと願い、“その日”が来る時に隣の部屋にいてほしいとイングリッドに頼む。悩んだ末に彼女の最期に寄り添うことを決めたイングリッドは、マーサが借りた森の中の小さな家で暮らし始める。そして、マーサは「ドアを開けて寝るけれど もしドアが閉まっていたら私はもうこの世にはいない――」と告げ、最期の時を迎える彼女との短い数日間が始まるのだった。