この星にもう、私たちふたりぼっち。
東京の街、いまにも消えてしまいそうなふたりは笑顔で駆ける――
相米監督の後期名作として知られる『お引越し』『夏の庭 The Friends』が、それぞれ4Kリマスター版で12/27(金)より公開となるタイミングで、同じく傑作として深く愛される、ハッピー・サッドでロマンティックな相米慎二監督の名作を35mmフィルムで限定上映
『セーラー服と機関銃』『ションベン・ライダー』『台風クラブ』などで知られ、日本映画界を代表する名優・監督らが揃って彼への想いを熱く語るなど、圧倒的な存在感を放ち続ける相米監督。作品に関わった俳優・スタッフのみならず、没後20年以上経った今も、映画人たちへの影響は計り知れません。
そんな相米監督の後期名作として知られる『お引越し』『夏の庭 The Friends』が、それぞれ4Kリマスター版で12/27(金)より公開となるタイミングで、同じく傑作として深く愛される『東京上空いらっしゃいませ』を、35ミリフィルムで特別上映いたします。
主演に『お引越し』でも名演を魅せる中井貴一と、本作で数々の新人賞を受賞することとなる牧瀬里穂を迎えて撮影された『東京上空いらっしゃいませ』。<一度は天国に行ったものの、気のいい死神を騙して地上へ舞い戻り、本当の自分を取り戻そうとする少女の姿を描く>という大胆な物語でありながらも、観るものすべてを虜にし、喜び/悲しみ両方を湛え、人の心の機微を繊細に描く、青春映画の鬼才・相米監督の真骨頂が感じられる名作です。
【STORY】
キャンペーンガールのユウ(牧瀬里穂)は、スポンサーの白雪(笑福亭鶴瓶)から逃れようと自動車からとび出した瞬間、後続の車にはねられ死んでしまう。街にあふれる看板やポスターや写真や音楽をそのままに、ユウの魂は東京上空へと舞い上がる。広告代理店の担当雨宮(中井貴一)たちは、ユウの死を隠してキャンペーンを続けることにし、後始末に奔走。天国のユウは、自分の死を受け入れられず、気のいい死神をだまして地上に舞い戻る。彼女がふたたび現れたのは、うろたえる雨宮のマンションだった。もう死んでいて家にも帰れず、学校にも行けないユウ。そんなユウをかばう雨宮。どこにも帰れないふたりは、東京の街をさまよい悲しみに暮れつつも、本当の自分の人生を生きている喜びを、かつてないほどに感じていた。