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2003年、46歳という若さでこの世を去った香港の大スター、レスリー・チャン。
彼の命日である4月1日に『流星』の上映が決定いたしました。
『欲望の翼』『ブエノスアイレス』のレスリー・チャンが父親役として主演し、プロデューサーとしても参加したヒューマンドラマ。
チャールズ・チャップリンの名作『キッド』をモチーフにした本作では、失脚した元証券アナリストの男が捨てられていた赤ん坊を拾い、愛情深く育てていくなかでの悲喜こもごもが描かれ、無償の愛の表情に溢れるレスリーの父親役は必見。
この度、ジェイコブ・C・L・チャン監督(『墨攻』『夜間飛行』)に撮影現場でのレスリーの様子やこの作品が持つ意味などについてコメントが到着!
【繊細でミステリアスなイメージが強いレスリーだけど、撮影現場で私が見たのは生身の心優しいレスリー】
「『流星』でレスリーと仕事をする前は、ミステリアスなスーパースターというイメージをレスリーに対して持っていた」というジェイコブ監督。ところが撮影に入ってまず驚かされたのは彼の「細やかで誠実な振る舞い」だったそう。「当時4歳の子役との共演ということで、セレブ然りな態度は一切見せずに愛情をもって子役をサポートしていた。話しかけやすく気さくな態度で現場にいることで、撮影クルーとも良い関係を築いていた。6か月の撮影期間中、彼はイラっとするような素振りを微塵も見せなかった」と撮影当時を振り返ります。
【『流星』 は俳優レスリー・チャンのキャリアにおいて特別な意味を持っている】
「レスリーは明確な目的を持ってノーギャラでこの作品に参加したんだ。その目的とは、自ら手本となり、香港で影響力のある俳優たちがギャラ度外視で映画製作に参加する流れを作るというもの。当時、アジア金融危機の影響を受けた香港では映画製作が非常に困難で、このようなレスリーの行動は映画の製作費を削減し、香港の映画労働者の雇用機会を生み出し、困難な時期をクルーたちと乗り越えていく手助けとなった」。このような経緯をたどっていることから「俳優レスリー・チャンのキャリアにおいて『流星』は、香港映画界の人間に対する彼のサポート、社会貢献という観点で特別な意味を持っている」と監督は語ります。
【現代社会が失くしてしまったものが、『流星』を観ると感じてもらえると思う】
「『流星』製作当時、1998年の香港はアジア金融危機の影響で人々は重荷を背負い不安を抱えた時期だった。こういった背景から、観た人を元気にして、彼らが直面している逆境に強く、楽観的に立ち向かえるように勇気づける映画を作りたかった。この映画のメッセージは、苦しい時期でも楽観的な態度で過ごし、限られたものから幸せを生み出し、愛する人たちとの時間を大切にすべきというもの。本当の幸せはお金や物では代えられない。『流星』は1999年の映画だけど、観る度にたくさんの感情が込み上げてくる作品です。レスリー・チャンとの素晴らしい記憶だけではなく当時の香港社会の雰囲気もよみがえり、昔の人間の温かさというノスタルジアが呼び起こされます。今の世の中はそこから大きく変わってしまいました。今『流星』を観ると、様々な感情が沸き起こり、作品に共感してもらえると思います」
STORY
香港で働く敏腕証券アナリストのウェイは、株価大暴落のあおりを受けて失業し付き合っていた彼女にも見放されてしまう。何もかも失い絶望のさなかにいるウェイは赤ん坊が捨てられているのを発見する。「金持ちに拾われて」というメモとともに捨てられていた赤ん坊を一度は置き去りにするものの、大雨が降りだしウェイは慌てて赤ん坊の元へ走るのだった――。