画面上の「余白」。背景と捉えるには余りにも空虚で、平面とも空間とも認識することができないその部分は唯々、無の領域なのだろうか。日本文化を辿れば、屏風絵や水墨画、庭園など、重んじて余白を取り入れ、見手の連想や考察により作品を完成させる美が存在する。絵画表現に在る「余白」という何も配置されない領域を、あなたはどのように捉え、連想し、考察するだろうか。
紙でなく綿布に水彩を施し、色の三原色のみで静物画を描く藤沢康人。しっとりとした絵肌と徹底的に情報を排除された画面の中で佇むモチーフの、白の部分は一筆も彩色なく残されている。見崎彰広が描く鉛筆画やリトグラフは、緻密な線の集積と純度の高い明暗で表現され、まるで光と影こそが物体たらしめることを視覚に訴えてくるようである。画面を占めるマージンがその存在を際立たせる。山田純嗣は名画をモチーフに、版画・写真・立体などメディアを横断したプロセスの中から「絵画」の本質を問う作品制作を行う。最も印象的な部分が抜け落ちたような作品は、名画に対する既視と未知はもとより、我々の想像力の根源について考察の機会を呈している。
今展では、画面上の余白が見手を引き込む3作家の新作・近作を中心とした作品群を展覧販売する。「余白」という空虚な領域にこそ秘められる表現を、ぜひ感受していただきたい。
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余白/考藤沢康人×見崎彰広×山田純嗣
会場:Box Gallery
作品紹介/スライドショー
概要
開催期間
2022/6/25(土)~7/6(水)
開館時間
10:00~19:00
会場
主催
Bunkamura Gallery
お問合せ
Bunkamura Gallery 03-3477-9174