
「Blue spots」
30×30cm 2019
「全ての物事は相対的であり、物事のあり方/捉えられ方は、時流の中での立ち位置や視点によって情報、感情、そして記憶などにも影響を受ける。」
市村の創作のモチベーションは、物事や事象の関係性や相対性への興味である。
沖縄出身、ニューヨークを拠点に制作活動を続ける市村しげの。アートコンペティション最大クラスのひとつ「テキサス・ナショナル」にて、アジア人として初となる第2位で入賞。2002年、New York芸術基金よりフェローシップを受賞し、その後もニューヨークを中心に国内外で多数の発表を続けている。
今展でご紹介する作品の多くには、凹凸で表現された曼陀羅を思わせるマチエール部分と軽やかな色彩の滴のようなイメージが描かれている。無機質なそれらの点(ドット)や円が、個としてのミクロの象徴なのか、マクロの表現なのかは、観る者の感情や記憶によって捉え方が変化し、物事の相対性を具現化した作品を味わうに十分なエレメントとして存在している。
Bunkamura Galleryでは2度目の個展となる今展では新作20余点を展覧販売。固定的な観念とその再構築、概念の流動性、記憶の儚さ、相反するものの共存など、ロジカルなコンセプトが音楽性を感じる配置の妙でリズミカルに表現され、心地よいシンフォニーのように洗練された作品群をぜひご堪能いただきたい。