微かな吐息でも消えてしまいそうな灯(ともしび)。
無機質な空間に佇む数々の食器。
Bunkamura Gallery初個展となる画家秋山泉。
鉛筆と紙というシンプルな画材を用い、静物や空間を描き出し、個展・グループ展だけでなく国内外のアートフェアで活躍する今注目の現代作家です。
表と裏、誰しもに内包されている両極端の感覚が人間の人格を形成するかのように、画面上を照らす光と影が調和をもたらした時、初めて彼女の作品は産声をあげるのです。
水面に放たれた波紋のごとく静かに広がりを見せる大胆な余白は、背景の粋を越え対象物の存在意義を示し、そこから浮かび上がる自立したモチーフは、濃霧の中でも光り輝き自らの存在を主張する生命力を感じさせます。
今展では新作・旧作を織り交ぜ代表的なモチーフを中心に近年の全貌をご覧いただきます。静寂の中からも響き渡る、心地良く流れる余韻を是非お楽しみください。