
「少女より始むる 弐・菜々子」 45.0×45.0cm
亜麻布・岩絵具・膠・墨・金銀泥
画室の池に蓮の花ひらく日、私は少女に出逢った。
清涼な薫風の中に少女は在った。
少年の私がセーラー襟のクラスメイトを
デッサンした、
遠き日と同じ風の匂いがした。
それが私の初恋であり、描き始めであったのだ。
ハスの種は傷ついて初めて花を開くという。
それまでは静かに泥に眠るのだ。
―そういった人がある。
私もまた生まれ直そうと思う。
時には、崇めず、支配せず、翻弄されることをも求めず、
ただ風のやうな少女を描いてみようと思う。
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日本画における人物画の復興を提唱し続ける池永康晟。この度Bunkamura Gallery において初めての個展開催となります。
物憂げな眼差しに、髪の毛1本1本の細やかな流れ。
思わず息をのむほどに美しいその女性像は、誰も触れることのできない孤高の美。見る者との間に微妙な距離感を生み出し、近づきたいのに近づけないもどかしさを感じます。まるで背景や衣服の文様の植物たちが、彼女を温室に閉じ込めてしまったかのようです。彼女たちを包む肌色は作家が十数年かけて追及した独自の配色で、透明感と上品な白さを持ちその風合いは見事に柔らかくも官能的な温もりを強調します。
麻布の肌理と岩絵具の粒子が作り上げる、静謐でありながら情熱的な魅力を持つ作品たち。本展では更なる進化を求め続ける作家の最新作を中心にご紹介いたします。会期中には作家自らが講師となるワークショップの開催も決定しました。
現代美人画のパイオニアであり、美人画ブームを牽引し続ける池永の魅惑的な世界にどうぞご期待ください。
○●ワークショップ開催●○
日にち:2026年1月11日(日)
場所:渋谷ヒカリエ 8/COURT(ヒカリエ8階・ギャラリー隣接会場)
<詳細は本ホームページにて後日発表いたします>(2025.10.24更新)















