
ディー・チン「Golden Golden Bubble Bubble」
日本の長い歴史からその伝統を受け継ぎ、時代と共に成長してきた日本画は、外来文化を吸収し醸成した日本独自の美意識が潜んでいます。そして、その美の規範を元とする技術的な伝統的な画題もさることながら、人間性・価値観の多様性が開花する現代、日本画は今、更なる領域に踏み込もうとしているのです。
記念すべき5回目を迎えた日本画解放区は、それぞれ異彩を放つ新進気鋭の若手作家6人をご紹介します。繊細な技術を用いながらもシンプルな形で、そこにある日常を切り抜く秋葉麻由子。現代社会に生きる者こそ知ることができる、心の星空を描く神谷恵。坂本藍子の作品は幻想的で儚い風景に、どこか観る人の心が映し出されているようです。また、只野彩佳の作品は時の移ろいや、未来への憧憬を自然の景色に彩り、水墨画の表現をベースにしたディー・チンは、古典的な幽玄美とユーモアを合わせた世界観を描きます。さらに水野香菜の作品は、身近にある動植物を絢爛華麗に表現し、味わい深い美を宿しています。
伝統を根源に、その枠組みでは収まりきれない個性の数々が、次世代日本画の技法と表現となって一堂に展開する今展、ここには技術による隔てなどなく、千紫万紅に咲き乱れる世界観の数々のみ。若手作家6人による日本画の饗宴を、乞うご期待ください。
≪同時開催≫
Wall Gallery
『立川瑛一朗 個展』
新進気鋭の水墨画家として今注目を集めている立川。
古典技法を学びながら水墨画文化のこれまでと現代を繋げるべく、
流派に囚われない自由な視点で描きます。
その表情豊かな筆致で観る者の想像力を膨らませる、水墨画の魅力を体感頂けるでしょう。
[略歴]
1988 神奈川県生まれ。
幼少期は北京・上海で過ごす。
2007 水墨画家土屋秋恆氏に師事。
2011 慶應義塾大学理工学部
機械工学科卒業。
「透け花Ⅰ」