アヤカシ(妖)とは目には見えぬものが起こした怪異現象の総称であります。
古来より人々は全てものに魂が宿っていると考え、木や石、道具にも魂があり、夜の寝静まった時には行進をしたり、踊りを踊っていたり、歌を歌ったりしているかもしれないと信じられていました。そして、長く使い続けると道具に魂が宿る、と言い伝えられているように、昔の人はそれだけ物を大切にしてきました。使い捨て時代の昨今では、魂が宿りようもありません。
そして昔は必要以上の「灯り」がなかったため、人々は当たり前のように目に見えぬ怪異を身近に感じ、そして共に生きていたのでしょう。当時の人々は当たり前に、身近にアヤカシを感じていたのです。疫病や厄災、怪奇現象など人知では解決できない目には見えぬ自然現象に畏怖し、転じて信仰の対象としても独自の精神形成をされてきたのです。
恐れられつつも謎めいた、未知の、得体の知れない怪異談は古典や伝説、童話、歌舞伎などを通じて語り継がれ、絵巻や浮世絵などの形で数多く残されています。さらには、令和の世の現代の日本人にも受け継がれ、アニメや漫画化され深く浸透し、その題材は現代の作家たちの好奇心を掻き立てています。
時には恐ろしく不気味、でもユーモラスで憎めない愛嬌のある日本古来のキャラクターたちは畏怖の対象でもありながら親しみを持ち続けられているのです。画面に恐ろしく描かれた妖怪や人物たちは、実は私たち誰もが持っている人知れぬ心の深淵にある醜さと恐怖心を戯画化されたものに過ぎないのかもしれません。
本展では「アヤカシ」をテーマに江戸期の浮世絵から現代の緻密で確かなテクニックを持ち合わせた作家たちが独自の感性と解釈で創作した浮世絵、陶器、油彩、彫刻など展覧販売いたします。
時空を超えた不気味で美しい、明るく陽気でユーモアたっぷりの異界へ、どうぞお立ち寄りください。
【出品予定作家】
※掲載作品は参考画像です。