平成も終わりを告げ、新たな時代が幕を明けました。私たちアートに携わるものたちもまた、これまでの時代を振り返ると共に、日本の美術が辿ってきた軌跡を思わずにはいられません。貧困の中、戦火の中、目まぐるしい経済成長の中、そして令和という新しい元号と共に見据える近未来、そこには常に自らを模索し続ける表現者たちがいました。色彩と対話し、モチーフを見つめ、描くことに真摯に向き合った日本の芸術家たちの作品群は、今もなお人々を魅了し続け、後世へと語り継がれていきます。
明治から大正にかけ、西洋の技術を得た画家たちは飽くなき表現を求め遥かな海を渡りました。そして戦争という歴史の中でも決して絵筆を手放さなかった彼ら。戦後という激動の時も頑なに描き続けた画家たち。国際化社会、多様化社会が謳われ、多くのアートが発信され続けている現代においても、彼らにとって描くというそのものの行為の本質的な意味は変わらないのかもしれません。
今展では、明治期から昭和にかけ、日本の風土を見つめ色彩豊かな数多くの名作を遺した梅原龍三郎、国吉康雄、中川一政、宮本三郎らの作家たちと、彼らに大きな影響を受け繊細なタッチで作品を生み出す現代作家をご紹介します。鮮やかな色使い、みなぎる創作力、そして時代の空気をも漂わせる作品群から、画家たちが生きた百花繚乱の世界をお楽しみ下さい。
【出品予定作家】
ラグーザ玉、宮本三郎、鳥海青児、吉田博、鴨居玲、国吉康雄、梅原龍三郎、中川一政、山田啓貴、山本雄教、藤田勇哉