世界的名作『グレンギャリー・グレンロス』、新進気鋭の演出家ジョン・ハイダーが日本で初演出!

本作は1983年にアメリカの演劇界を代表する劇作家デヴィッド・マメットによって書かれた戯曲で、同年にイギリスで初演されウエスト・エンド演劇協会賞、翌年にはシカゴとブロードウェイで上演され、ピューリッツァー賞を受賞。1992年には映画化(邦題「摩天楼を夢みて」)され高い評価を獲得しました。経済環境が大きく変化する現代においても、成功を求める人間の欲望や葛藤、競争社会の現実といったテーマが今を生きる私たちに強く響きます。
演出を手掛けるのは、新進気鋭の演出家ジョン・ハイダー。本作が日本での演出デビューとなり、その手腕に注目が集まります。
堤 真一×濵田崇裕 初共演にしてダブル主演!
マメットの最高傑作に豪華俳優陣が挑む!

かつては成功をおさめていたが今は落ち目で必死に売上を追う中年営業マン、シェリー・レヴィーンを演じるのは、堤 真一。頭の回転が早く、巧みな話術で契約をものにしてきたやり手の不動産セールスマン、リチャード・ローマを演じるのは、濵田崇裕。
さらに、鈴木浩介、前川泰之、岩瀬 亮、小松和重、池内博之と、経験豊富な実力派キャストが集結し、マメットの最高傑作に挑戦します。
生き残りを懸けた男たちが織りなす緊迫の会話劇を、ぜひ劇場でご堪能ください!


















かつてのトップセールスマン、レヴィーン(堤 真一)は契約につながる有望顧客の名簿を求めてオフィスマネージャーのウィリアムソン(鈴木浩介)に食い下がる。
一方、会社への不満を募らせるモス(池内博之)は、解雇に怯えるアロノー(小松和重)を焚きつけ、顧客名簿を盗み出す計画を持ちかける。
巧みな話術で次々と契約を勝ち取ってきたローマ(濵田崇裕)は、リンク(岩瀬 亮)に土地を売り込もうと迫る。
そんな矢先、事務所が荒らされ、顧客名簿や契約書が盗まれる事件が発生。捜査に乗り出した刑事ベイレン(前川泰之)は内部犯行を疑い、男たちへの事情聴取を始める。
交錯する欲望と疑念。緊迫する駆け引きの果てに、やがてたどり着く真実とは……。
私にとって、この『グレンギャリー・グレンロス』は、書かれた当時にもそして現代にも力強く語りかける戯曲です。もちろんこの作品のテーマは、1980年代初頭、劇作家自身が不誠実な不動産会社でアシスタントマネージャーとして働いた経験をもとに生まれたもので、その時代や場所と深く結びついています。しかし同時に、仕事に人生を支配されるような極端なワークライフバランスの崩れという、現代の大都市─、シカゴから東京、そしてその間にあるあらゆる都市に共通する現実とも強く響き合っているのです。
マメットが描く登場人物たちは皆、それぞれよりよい未来へ向かうために「抜け出す道」を探しているように思えます。その道を見つけられるかどうかは本人次第で、実際には多くの人物が最後まで見つけられないのかもしれません。それでもなお、そのもがき続ける姿は実に人間的です。彼らの姿を追ううちに、私たちは否応なく、自分自身や自分の振る舞いをそこに見出すことになるのではないでしょうか。そうした瞬間にこそ、この作品が観客の皆さんとの対話となることを願っています。劇場を後にしたあとも、「もし自分だったらどうしただろう」と問い続けてもらえたら嬉しく思います。そして、マメットは「Always Be Closing (常に契約を決めろ)」という言葉で描いていますが、「成功」とは、本当は何を意味するのかを考えるきっかけになればと願っています。
<プロフィール>
ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで英文学の修士号、オックスフォード大学マートン・カレッジで近現代英文学の修士号を取得。その後RADA(王立演劇学校)およびナショナル・シアター演出家養成コースで研鑽を積んだ。これまでにナショナル・シアター、ロイヤル・コートシアター、シェイクスピアズ・グローブ、ウエストエンドにて、アソシエイト・ディレクターを務め、ハワード・デイヴィス、マイケル・グランデージ、ジェームズ・マクドナルドら著名な演出家と協働してきた。また、演出家としてだけでなく、劇作家・脚本家としても活動しており、現在も複数の舞台化作品の開発を進めている。
主な演出作品に、『アフタープレイ』(コロネット・シアター)、『オセロー』(ケンブリッジ・アーツ・シアター)、『リチャード三世』(ヘッドロング)、『ディスコ・ピッグズ』(トラファルガー・スタジオ/アイリッシュ・レパートリー・シアター)などがある。『ディスコ・ピッグズ』は「ニューヨーク・タイムズ」紙の「Critics’Pick(批評家推薦作品)」 に選出された。2022年には、ブリストル・オールド・ヴィックシアターで演出した『ハムレット』が、英紙「オブザーバー」による「2022年ベスト公演10選」に選出された。同作の映像版は、2023年にはAltitudeFilms製作により英国・アイルランド各地の映画館で公開され、その後、シェイクスピアの『ファースト・フォリオ』刊行400周年を記念してBBCでも放送された。本作、デイヴィッド・マメットによるピューリッツァー賞受賞作の演出が、日本での演出デビューとなる。
リズムとテンポが必要な会話劇です。不動産を売る男たちの会話の応酬だけで、物語にグイグイと引き込まれます。僕の役は映画版でジャック・レモンが演じた、落ちぶれたセールスマン。初めてご一緒するジョン・ハイダーさんがどんなアプローチをされる方かはわかりませんが、イギリスの演出家は最初から「正解」のイメージを提示するよりも、「このメンバーで何ができるか」を一緒に考えていく方が多い印象があります。このシリーズでご一緒したジョナサン・マンビィさんも、リンゼイ・ポズナーさんもそうでした。思考がどんどん飛んでいくような“営業用の話術”を身につけると共に、かつての栄光を語る男の悲哀に近づけたらと思います。
濵田崇裕:
いつか絶対に共演したいと思っていた堤 真一さんとご一緒できることがまずスーパーハッピーです!海外の演出家の方に演出していただくのは二回目ですが、前回がすごく楽しい経験だったので、今回もどんな方なのか楽しみにしています。僕が演じるローマはやり手で頭の回転も速い“デキる男”。どういう生活をしてきたのか、人間を掘っていくように稽古を積めたらと思います。映画版で演じていたアル・パチーノの色気がすごくて、あの風格を僕が出せるのか?と思いながらも、気がついたら面白すぎて見入っていました。何度も観たくなるような芝居にしたいですし、「この人から物件を買ってみたい」と思わせるような男たちになればと思っています。
鈴木浩介:
いつもニュートラルに台本と向き合いたいので、原作や、映像化されたものなどにはあえて触れないようにしていますが、今回は自分の役を大好きなケヴィン・スペイシーが演じているというので映画を観てしまいました。これがものすごく面白かった。シーソーゲームのように役者の立ち位置が次々と入れ替わり、弱者と強者がひっくり返った時に、人間の浅ましさや卑しさが透けて見えてくる。見事なエンターテインメントになっていました。僕が演じるウィリアムソンはシニカルで感情の起伏が見えない男のように思えますが、その中にある彼の揺らぎを表現できるように、出来る限りナチュラルな状態で臨みたいと思っています。
前川泰之:
素晴らしい戯曲、素晴らしいキャストの皆さん、そして海外からの演出家。こんなにも三拍子揃った胸踊る舞台に参加出来る事に、心から嬉しく思うと同時に、自分がどこまで芝居で食らいついて行けるだろうか?と言う緊張感と武者震いを感じている次第です。不動産屋で繰り広げられる怒涛の会話劇の中で自分が演じる刑事はポイント的な役柄ではありますが、全てを疑ってかかるような刑事特有の厭らしさみたいなものを追求し、良いエッセンスになれればと思います。また海外の演出家とご一緒するのも初めてなので、自分の中でどんな新しい扉が開くかを楽しみに、柔軟な感覚を持って臨みたいと思います。
岩瀬 亮:
トップランナーとして活躍されている皆様と一緒にマメットの戯曲を上演する。こんな幸せなことがあるでしょうか!!舞台は80年代のアメリカですが、2026年日本の資本主義社会に生きる僕たちが抱える、人間の、生活の、倫理の、普遍的な問題があらわになる作品だと感じています。と、カタイことを言いつつも、始終舞台上で展開される激しく生々しい会話劇を、身体いっぱいに浴びて楽しんでいただければと思っています。僕の役もだいぶ“浴びる”側なので、ドキドキしてます!
小松和重:
久しぶりに硬めの演劇をやるので、今からそわそわしています。会話と熱量で駆け抜けるような作品は普段あまりやらないので、楽しみな反面、少し怖さもあるのが正直なところです。海外の演出家の方とは何度かご一緒したことがありますが、毎回新しい発見があります。今回はどんなふうに作品を作っていくのか、まだ全然想像がつきませんが、それも含めてとても楽しみです!
池内博之:
今回初めて海外の演出家、ジョン・ハイダーさんとご一緒できることをとても楽しみにしています。僕が演じるモスは現状に強い不満を抱え、とにかく口が悪い人物(笑)。その人間らしさを丁寧に表現したいです。久しぶりの舞台でもあり、共演者の皆さんとの化学反応を楽しみながら、お客様の心に残る作品をお届けしたいと思います。ぜひ劇場でご覧ください。