世界の映画賞席巻の衝撃作、映画『パラサイト 半地下の家族』舞台化!
第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画“初”となるパルム・ドールの受賞を果たし、第92回米アカデミー賞では非英語作品として史上初の作品賞受賞のほか監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の計4部門受賞という快挙を成し遂げた、映画『パラサイト 半地下の家族』が、日本で舞台化することが決定いたしました。
来春オープンするTHEATER MILANO-Zaでの公演を皮切りに、2023年6月より東京・大阪で上演されます。
映画『パラサイト 半地下の家族』は2019年に韓国で公開され、観客動員数は1,000万人を突破。日本でも瞬く間に大ヒットとなり、2020年に公開された外国映画の中では最高の興収を記録したことでも記憶に新しい作品。アジア圏の映画として初の米アカデミー賞作品賞を受賞した“革命的な映画”といえる本作のメガホンをとったのは、『グエムル-漢江の怪物-』、『母なる証明』で知られる名監督ポン・ジュノ。映画は社会問題化している「格差社会」というテーマを描きながらも、所々に散りばめられた緻密な「伏線」や「テーマ性」が話題を呼び、サスペンス、ブラックコメディ、ヒューマンドラマなどの“ジャンルを超えた傑作”として世界各国で称賛の嵐を巻き起こしました。
日本での舞台化にあたり台本と演出を手掛けるのは、映画『愛を乞う人』『焼肉ドラゴン』、舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』などで知られる脚本・演出家 鄭 義信。
ポン・ジュノ、鄭 義信の両氏と親交が深い、李 鳳宇プロデューサーの企画のもと『パラサイト』が日本の舞台で実現します。
日本版『パラサイト』の舞台となるのは90年代の関西——。
家内手工業の靴作りで生計を立て、地上にありながら地下のように一日中陽がささないトタン屋根の集落で細々と暮らす金田一家。物語の中心となるそんな金田一家の主・金田文平には、ドラマ・映画・舞台・ラジオなど様々なジャンルで活躍する個性派俳優、古田新太が決定。身分を偽造し、高台の豪邸に住む永井家の家庭教師としてアルバイトを始める文平の息子・純平を、数々の話題作に出演し俳優として着実にキャリアを積む宮沢氷魚、同じく永井家にアートセラピー教師として取り入る純平の妹・美姫には、子役時代から安定感のある演技力に定評がありシリアスからコメディまでこなす伊藤沙莉、美姫に続いて家政婦として雇われる文平の妻・福子を、多くの作品で唯一無二の存在感を放つ江口のりこが務めます。
また、金田一家とは対照的に、高台の豪邸で暮らし、次第に金田家に<寄生(パラサイト)>されていく永井家の主人で、実業家として成功しつつも中身はまるで“土建屋の親父”・永井慎太郎には、舞台やドラマ、映画で独特の存在感を放つ山内圭哉。美しく品もあるが天然な側面も持ち合わせる永井家の“奥様”・千代子には、デビュー以降数々の人気作に出演し、幅広い層からの支持を得る真木よう子。その娘・繭子を次々と話題作に出演する注目俳優、恒松祐里が演じます。
さらに、永井一家の家政婦を務めこの物語のキーパーソンとなる安田玉子には、その抜群の演技力が多くの作品で光る“カメレオン俳優”・キムラ緑子が決定。また、舞台『パラサイト』オリジナルの登場人物として、ナイロン100℃の作品をはじめ毎回鮮烈な印象を残し、鄭の作品に多数出演し信頼の厚いみのすけと、個性と実力を兼ね備えた魅力的なキャストの共演が実現しました。
先が読めないもう一つの“半地下の家族”の物語が、ここに誕生します。
舞台ならではの衝撃のラストにご期待ください。
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一方対照的な高台にある豪邸では、永井慎太郎(山内圭哉)、妻の千代子(真木よう子)、娘の繭子(恒松祐里)、引きこもりの息子賢太郎がベテラン家政婦の安田玉子(キムラ緑子)とともに暮らしている。文平の息子の純平(宮沢氷魚)は妹の美姫(伊藤沙莉)が偽造した大学の在籍証明を利用し、繭子の家庭教師としてアルバイトを始める。息子の賢太郎のアートセラピーの教師として、美姫が、慎太郎の運転手や玉子がクビになるように仕向け、その後釜に、文平と妻の福子(江口のりこ)が、と一家は永井家に寄生していく…。
<プロフィール>
1993年に『ザ・寺山』で第38回岸田國士戯曲賞を受賞。その一方、映画に進出して、同年、『月はどっちに出ている』の脚本で、毎日映画コンクール脚本賞、キネマ旬報脚本賞などを受賞。98年には、『愛を乞うひと』でキネマ旬報脚本賞、日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第一回菊島隆三賞、アジア太平洋映画祭最優秀脚本賞など数々の賞を受賞した。2008年には『焼肉ドラゴン』で第8回朝日舞台芸術賞 グランプリ、第12回鶴屋南北戯曲賞、第16回読売演劇大賞 大賞・最優秀作品賞、第59回芸術選奨 文部科学大臣賞、韓国演劇評論家協会の選ぶ2008年 今年の演劇ベスト3、韓国演劇協会が選ぶ 今年の演劇ベスト7など数々の演劇賞を総なめにした。2014年春の紫綬褒章受章。近年の主な作品に『すべての四月のために』(17・作・演出)、『泣くロミオと怒るジュリエット』(20・作・演出)、『てなもんや三文オペラ』(22・作・演出)などがある。また、22年に自身の劇団「ヒトハダ」を立ち上げ旗揚げ公演『僕は歌う、青空とコーラと君のために』(22・作・演出)を上演。
“日本のソン・ガンホ”と呼ばれることも多いオイラが、ついに彼と同じ役を演じる日が来ました。とはいえガンホさんが一個下ですから、本来“韓国の古田新太”と言われてしかるべきじゃないかと!でも彼のファンでもあるので、稽古前に映画を見直して完コピしようかな?と目論んでいます(笑)。そして、これまでもオファーをいただきながら、スケジュールが合わずなかなかご一緒できなかった鄭義信さんの作品に、やっと出演が叶います。鄭さんらしい、分厚い人間ドラマになるんじゃないでしょうか。同時代を生きてきたインディーズ出身の演劇人たち、そして才能豊かな若手が揃う座組みを、鄭さんが料理する舞台、どうぞ期待値マックスで足をお運びください。
宮沢氷魚:
今回、世界的ヒットを果たした『パラサイト』の舞台に出演させて頂けることをとても光栄に思います。個人的に大好きな映画であり、新劇場でどのように舞台化をするのか楽しみで仕方がありません。
鄭さんの作品は映画『焼肉ドラゴン』、舞台『僕は歌う、青空とコーラと君のために』をはじめいくつか拝見しましたがどれも傑作で、鄭さんに演出して頂けることを楽しみにしています。世界情勢が不安定で、格差がどんどん開いていく今だからこそ、この作品を届ける意義があると信じています。一人でも多くの方にこの作品を観て頂きたいです。
伊藤沙莉:
映画館でもテレビでもサブスクでも、何度も見た大好きな映画、そしてファンの方も多い作品の舞台化に参加できる喜びと緊張で震えています。たくましく懸命に生きる人間を、アツく優しく描く鄭さんの舞台に初めて出演したのは、私がまだ20歳そこそこの時でした。この挑戦的な舞台で再びご一緒できることにも運命を感じています。さらに素晴らしい共演者揃いですから、これは面白いものになる予感しかしません!あの世界をどう生のステージで表現するのか、まだ全く想像できていませんが、皆様の期待を裏切らない、そしていい意味で裏切る作品になれば……と思います。ぜひ劇場に確かめにいらしてください。
江口のりこ:
自分が若手時代に出演した、ドラマ『すみれの花咲く頃』(2007)や映画『信さん・炭坑町のセレナーデ』(2010)といった、映像作品の脚本を手掛けていた鄭さんと初めて舞台でご一緒できることが、まずはとても嬉しいです。座組みには古田さんという頼れるアニキがいますし、何があっても大丈夫という大いなる安心感!キャスティングを眺めていると、ふと「(夫役を演じる)古田さんと私から、果たして宮沢氷魚さんが生まれるのか?」と疑問もわきますが(笑)、映像で共演経験もある宮沢さんが、この役をどう演じられるのかも楽しみの一つです。とにかく頑張りますので、ぜひ観にいらしてください。
キムラ緑子:
「あの衝撃作を舞台化するなんて、ウソでしょう!?」という驚きと共に、「どう立ち上げていくのか知りたい」という好奇心がムクムクと込み上げ、私自身が心から「観たい!」と思う舞台に参加させていただきます。富める者と貧しい者が二極化し、お金があるところにさまざまな人間が呼び寄せられ、パラサイトしていく――今の日本にも響くテーマを内包した作品をライブ空間で見せるために、どうしたらいいか想像つきません。道のりの遠さを思うと「観る側に回ればよかったなあ」と弱気になります(笑)。やると決めたからには、思いきりぶつかっていこうと思っております!
みのすけ:
同世代である古田新太さんとの共演は、僕が所属する劇団「ナイロン100℃」にゲスト出演してもらった『下北ビートニクス』(1996)以来、なんと27年ぶり!そして映像で共演してきた方も多い座組みで、この豪華メンバーに加えていただき、まずは嬉しい気持ちでいっぱいです。そして初期作品から拝見し、これまで何作もご一緒している大好きな鄭さんの舞台に出られることにも、大きな喜びがあります。今回演じる役は、精神的にも体力的にもギリギリですが(笑)、鄭さんが「みのすけならできる」と思ってくださったからには、その期待に大いに応え、面白い作品になるよう頑張ります。どうぞご期待ください。
山内圭哉:
実は初めて『パラサイト』を観た時、「これを戯曲化したら面白いだろうな」と思いながら観たんです。でもまさか日本で上演するなんて、そして自分が参加できる日が来るなんて、想像だにしていませんでした。信頼する方ばかりが並ぶ座組みで、しかも、長年仲良くさせてもらっている古田さんとは、30年ぶりの共演。お互いなかなかに老いてから再びご一緒できることに、月日の流れを感じます(笑)。常に弱者からの視点を描いてきた鄭さんの手によって、必ずや、普遍的な物語であることを確認していただけるでしょう。「映画の方が絶対面白いちゃうん?」と思う方にこそ、観ていただければと思います。
恒松祐里:
すごい原作映画の舞台化、そして大先輩が並ぶビッグな作品で、嬉しくワクワクする気持ちと緊張する気持ち、両方がこみ上げています。人間の根っこにある感情を情熱的に描き、見るものの心を揺さぶり、燃え上がらせる、鄭 義信さんの作品に初めて参加させていただくことにも、とにかくドキドキしています。私が演じる裕福な家庭の女の子は、物質的な豊かさはあっても、世間を知らない普通の女子高生。若さゆえに胸に秘めた「誰かに認めてほしい」と思う気持ち、彼女のピュアな部分を大切に、まずは戯曲として心新たに、真剣に向き合っていきたいと思っております。
真木よう子:
まずは映画『パラサイト』を日本で舞台化する企画自体にびっくりし、自分が参加させていただけることにダブルでびっくりしています。素晴らしい原作を前にプレッシャーはありますが、古田さんを筆頭に“愉快な仲間たち”が揃い、今から稽古場が楽しみで仕方ありません。鄭さんとは映画『焼肉ドラゴン』以来。撮影現場では優しい監督でしたが、風のウワサで聞くと舞台の稽古場では厳しく、 “鬼の演出家”だとか(笑)。こうして舞台でもご一緒できることに喜びを感じています。原作の良さを生かしながら“日本版”に置き換えられた、オリジナリティあふれる舞台。素晴らしい作品となるよう、私も尽力したいと思っております。