演出は、劇団3〇〇の主宰、演出家、劇作家、女優、歌手として卓越したパワーで活躍し続ける渡辺えり。
渡辺が演劇を志すきっかけにもなったという憧れの作品である、テネシー・ウィリアムズの出世作『ガラスの動物園』と、別役 実がその後日譚として書いた『消えなさいローラ』の世界初となる二本立て上演に挑みます。
『ガラスの動物園』の物語の進行役でもあり、閉塞感を感じながら現状からの脱却を夢見る文学青年の弟・トムを演じるのは、今最も注目される歌舞伎俳優であり、舞台や映像、バラエティなどでもその才能を発揮する尾上松也。2020年に渡辺と『消えなさいローラ』で共演、絶大なる信頼を得て、再びのタッグとなります。極度に内気でガラス細工の動物たちと古いレコードだけを心のよりどころとする姉・ローラ役は、温かさと芯の強さを併せ持ち、繊細かつ誠実な演技力で映像から舞台まで様々な役を演じ分ける吉岡里帆。高校時代にローラが恋心を抱いていた人物であり、一家の夕食に招かれてやってくる青年・ジムは、ミュージカル、ストレートプレイを問わず、ジャンルの幅を広げながら舞台を中心に活躍する和田琢磨が演じます。渡辺えりは、自身が生涯で一度は演じてみたかったという、華やかな過去の想い出の中で生き、自分の考えが正しいと信じて疑わない口うるさい母・アマンダを演じます。
『消えなさいローラ』では、家を飛び出して行ったトムを母とともに待ち続けるローラ役を吉岡、和田、渡辺の三名が日替わりで演じます。彼女を突然訪ねる葬儀屋と名乗る“男”役の松也を相手に二人芝居を繰り広げます。
二本立てで上演することで、双方の作品の深部により強い光を当て、“夢を見ることを忘れないでほしい”という現代のすべての人へ向けた渡辺の想いとともに、性別や年齢を超えた、切なくもロマンチックな公演をお届けします。
どうぞご期待ください。