
2026年2月16日に逝去された
ドキュメンタリーの巨匠ワイズマンの偉大な仕事を今。
現存する最も偉大なドキュメンタリー作家と言われていたフレデリック・ワイズマン監督が、2026年2月16日、米国マサチューセッツ州ボストンの自宅で逝去されました。この度、ワイズマン監督を偲んで、Bunkamuraル・シネマ及びル・シネマ 渋谷宮下にてこれまで公開した傑作の数々の緊急上映が決定しました。上映作品は、遺作となった『至福のレストラン/三つ星トロワグロ』、これまでのワイズマン作品の集大成ともいえる『ボストン市庁舎』、今年9月の国内上映権終了前の貴重な機会となる『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』。偉大なるフィルモグラフィーから、Bunkamuraに所縁の深い3本を追悼上映いたします。
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『至福のレストラン/三つ星トロワグロ』

監督・製作・編集:フレデリック・ワイズマン
2023年/アメリカ/240分/仏語・英語/原題:MENUS-PLAISIRS LES TROISGROS
配給:セテラ・インターナショナル
© 2023 3 Star LLC. All rights reserved.
親子3代に渡って55年間ミシュランの三つ星に輝く最高峰のフレンチレストラン、その驚異の秘密に迫る――。遺作となった芳醇なる最高傑作。
樹々と湖に囲まれた印象派の絵画のようなフランスの村ウーシュに佇む、世界の美食家たちが生涯に一度は訪れたいと夢見る〈トロワグロ〉。ワイズマン監督が〈トロワグロ〉のレストランと料理に魅了されて撮影を熱望。バレエ・美術などのアート分野から、医療・教育・行政など福祉分野まで、あらゆる業界に踏み込んできた巨匠が、94歳にしてはじめて料理芸術の世界に挑んだ。
カメラは、建築家パトリック・ブシャンが建てた、周囲の自然と解け合いながらそこにモダンさを加えた新しいレストランを主な舞台に、オーナーシェフ3代目のミッシェルと4代目のセザール、さらにスタッフたちの終わりのない食への追求の日々を捉える。家族で始めたレストランが創業以来94年間、なぜ変わらず愛されつづけてきたのか——その秘密が今、明かされる。五感を刺激し心が豊かに満ちる、かつてない極上のレストラン体験へと誘う。
『ボストン市庁舎』

監督・製作・編集・録音:フレデリック・ワイズマン
2020 年/アメリカ/274分/英語/原題:City Hall
配給:ミモザフィルムズ、ムヴィオラ
© 2020 Puritan Films, LLC – All Rights Reserved
ワイズマン監督が、生まれ故郷ボストンの街の姿と、”市民のために働く市役所”の知られざる奮闘を映し出す。
多様な⼈種・⽂化が共存する⼤都市ボストンは、ワイズマン監督が⽣まれ、暮らした街でもある。カメラは飄々と、その都市機能の中核である〈ボストン市庁舎〉の中へ入り込み、市役所の人々とともに街のあちこちへと興味のままに動き出す。そこに映し出されるのは、警察、消防、保険衛生、高齢者支援、出生、結婚、死亡記録、ホームレスの人々の支援から同性婚の承認まで数百種類ものサービスを提供する、知られざる市役所の仕事の舞台裏。市⺠の幸せのため奮闘するウォルシュ市⻑と市役所職員たちの姿から浮かび上がってくるものとは……。
ワイズマン監督が軽やかに切り取るこれらの諸問題は、長年にわたり彼が多くの作品で取り上げてきた様々なテーマに通じ、まさにワイズマンの“集大成”ともいえる。〈お役所仕事〉という⾔葉からは想像もできないボストン市庁舎の仕事が⾒えてくる、驚きに満ちたドキュメンタリー。
『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』

監督:フレデリック・ワイズマン
2011年/フランス・アメリカ/134分/仏語/原題:Crazy Horse/R15+
配給:ショウゲート
©2011 – IDÉALE AUDIENCE – ZIPPORAH FILMS, INC.TOUS DROITS RÉSERVÉS – ALL RIGHTS RESERVED
1951年から続く、世界最高峰の女性ダンサーたちによる華麗なるエンタテインメントショー。今年9月の国内上映権終了前の貴重な機会!
「BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界」「パリ・オペラ座のすべて」に続き、ワイズマン監督がダンスをテーマに挑んだ3作目は、ムーラン・ルージュやリドと並ぶパリの三大ナイトショーの一つである〈クレイジーホース・パリ〉が舞台。世界中のセレブや文化人が賞賛し、これまでにダリが舞台セットを、セザールがポスターを、カール・ラガーフェルドやクリスチャン・ルブタンが衣装デザインを手がけた歴史がある。
魅惑的な振り付けとダンサーたちの完璧なボディ、そして緻密に計算された音と光の演出によるショーがふんだんに映し出され、幻想的な世界へと誘う。さらにパフォーマンスのみならず、リハーサル・メイクアップ・衣装・オーディションやクラブの運営など秘められた舞台裏を一分の隙もなく切り取る。常に進化しながら人々を魅了し続け、ショーの可能性を広げる〈クレイジーホース・パリ〉の全貌が明らかになる!
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【フレデリック・ワイズマン】
1930年1月1日-2026年2月16日。享年96歳。
ボストン生まれ。イェール大学法学部卒業。1967年、初監督であるドキュメンタリー『チチカット・フォーリーズ』以降、半世紀以上にわたって数多くの重要な作品を発表。その中でも、ほぼ大半を占めるアメリカ社会の記録は、繁栄と矛盾に満ちた大国の姿を伝える偉大な足跡と讃えられている。ドキュメンタリー監督作は全44作。近作に『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』(2017)、『ボストン市庁舎』(2020)など。遺作はフランスで撮影した『至福のレストラン/三つ星トロワグロ』(2023)2014年にヴェネチア国際映画祭で特別功労賞(金獅子賞)、2016年にはアカデミー賞名誉賞を受賞している。














