
選りすぐりの名作アニメーションがスクリーンに甦る!
世界の優れたアニメーションを、ジブリ美術館がセレクトし広く紹介する活動。それが“三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー”。これまで高畑勲監督・宮﨑駿監督がおすすめする作品を中心に、世界の名作の数々をシリーズ化してお届けしてきた。このたび、活動開始から20年を迎えることを機に、厳選した4プログラムを上映する「20周年記念映画祭」の開催が決定!
プログラムの内容は、宮﨑駿監督が「アニメーターをやるやつは見ておくべき」と話す『バッタ君 町に行く』(1941、アメリカ)、2度オスカーを獲得したフレデリック・バックの『木を植えた男』(1987、カナダ)をはじめとする代表作4作、フランスで公開と同時にアニメーション映画の記録を作った『キリクと魔女』(1998、フランス)、“老い”や“認知症”とどう向き合えばよいのか……。そんな重いテーマを、温かな手描きアニメーションの手法でコミカルに描き出した『しわ』(2011、スペイン)と、制作された時代も国も異なる作品を上映予定。
貴重な35mmフィルム上映も決定!
『バッタ君 町に行く』『フレデリック・バックの映画』『キリクと魔女』の3プログラムは、35mmフィルムで上映。フィルムでの上映が可能な劇場が減っている今、フィルムならではの温かみのある映像体験をお楽しみいただける貴重な機会をお見逃しなく。
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◆上映予定作品
『バッタ君 町に行く』
日本語字幕版/監督:デイブ・フライシャー/制作国:アメリカ/制作年:1941年/上映時間:78分

▪宮﨑駿監督のコメント:「アニメーターをやるやつは見ておくべき。時代のせいでおもしろくないものと、時代を超えておもしろいものがあるはずで、その時代を超えるものをやっぱりフライシャーは持っているんです。」
▪解説:都会の真ん中に、虫たちが暮らす草むらがあった。危険から逃れるためにバッタのホピティは、安全な土地への引越しを提案。かくして、人間の足元で、小さな虫たちの苦難の引越しが始まった―。1941年、ディズニーを越えようとした二人の兄弟がいた。現在でも世界中から人気を集める『ベティ・ブープ』(1932)や『ポパイ』(1933)、『スーパーマン』(1941年度アカデミー賞短編アニメーション部門ノミネート)を世に送り出したマックス・フライシャーとデイブ・フライシャー。本作は、ディズニー最大のライバルと称された彼らが、持てる技術と経験のすべてをかけて挑んだ最後の長編アニメーション映画である。
フレデリック・バックの映画 監督:フレデリック・バック/制作国:カナダ
『アブラカダブラ』
制作年:1970年/上映時間:9分

▪解説:魔法使いに奪われた太陽を探しに旅に出た少女が、旅先で出会った様々な人種の子どもたちとともに太陽を取り戻そうとする。テレビ番組で活躍していたフレデリック・バックが、初めて35mmフィルムで本格的に取り組んだアニメーション。© Société Radio-Canada
『クラック!』
制作年:1981年/上映時間:15分

▪解説:一脚のロッキングチェアが辿る運命を通じて、失われつつあるケベックの伝統的な生活や文化、家族愛、自然への共感、現代文明批判などを描く。ツヤ消しセルに色鉛筆で描く手法は、フレデリック・バックならではのものとして定着した。アカデミー賞短編アニメーション部門受賞。© Société Radio-Canada
『木を植えた男』
日本語字幕版/制作年:1987年/上映時間:30分

▪解説:羊飼いのエルゼアール・ブッフィエは、たった一人で荒地に木を植え続けていた。ブッフィエの無償の行為は、不毛の地に緑をしたたらせ、生命の輝きに満ちた場所に甦らせた。ジャン・ジオノの原作に感銘を受けたバックが、5年半の歳月をかけ、2万枚におよぶ作画作業の大半を一人でこなして作り上げた代表作。前作に続きアカデミー賞短編アニメーション部門受賞。そして、この映画に感動した人々による植樹運動が世界中に広がりを見せた。© Société Radio-Canada
『大いなる河の流れ』
日本語字幕版/制作年:1993年/上映時間:24分

▪解説:北米を流れる大河、セント・ローレンス(サン・ローラン)河を舞台に、河に生きる生命の力強さと、生態系を破壊し汚染する人間の愚かさをドキュメンタリータッチで描く。映画は最後に、「未来に向けてどうすべきか」という問いを見る者に投げかけるように終わる。緻密な描写を極めた作画、水中から地上、空へと目くるめくように移動し変化するカメラワーク、複雑なオーバーラップ技法を駆使した撮影など、これまでの技術をさらに深化させた映像を見せた。アカデミー賞短編アニメーション部門ノミネート。© Société Radio-Canada
『キリクと魔女』
日本語吹替え版/監督:ミッシェル・オスロ/制作国:フランス/制作年:1998年/上映時間:78分

▪解説:キリクが生まれたアフリカの村は、魔女カラバの恐ろしい呪いにかけられていた。泉の水は涸れ、魔女を倒しに出掛けた男たちは帰らず、村に残っているのは、女子供と老人だけ。「どうして魔女カラバは意地悪なの?」。持ち前の好奇心と行動力で、小さなキリクは賢者が住むという“禁じられたお山”へ旅に出る…。 1998年のフランスでの劇場公開と同時に大ヒットとなり、フランスのアニメーション史上歴代興収No.1を記録。アヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリを受賞したほか多くの賞に輝き、瞬く間に世界的な評価を獲得した。高畑勲監督が日本語版翻訳と演出を手掛け、日本版声優はキリク役を神木隆之介、カラバ役は浅野温子が担当し、国内でも大きな話題となった。 © Les Armateurs / Odec Kid Cartoons / France 3 cinema / Studio O / RTBF / Monipoly / TEF / Exposure.
『しわ』
日本語字幕版/監督:イグナシオ・フェレーラス/制作国:スペイン/制作年:2011年/上映時間:89分

▪高畑勲監督のコメント:「『しわ』という作品で、アニメーション映画の持つ可能性がまたひとつ広がった、とわたしは思っています。元になっているコミックスがまずそうなのですが、この映画は、誰もが無関心ではいられないが、そのくせ、できれば目をそらせていたい老後の重いテーマを、勇気をもって扱っています。わたしはひとりの老人として、人間として、そして一アニメーション従事者として、映画『しわ』に心から敬意を表します。」
▪解説:かつて銀行に勤めていたエミリオは、認知症の症状が出てきたため養護老人施設へと預けられた。施設では様々な老人達が暮らしており、重症者は2階に入れられることがわかる。エミリオはある日、処方された薬を間違えられたことで自分がアルツハイマーであることに気づいてしまう。そんなエミリオのことを思い、ついに同室のミゲルはある行動に出るのだった…。スペインで公開されるや社会的に大きな反響を呼び、スペインのアカデミー賞と呼ばれる第26回ゴヤ賞で「最優秀アニメーション賞」「最優秀脚本賞」を受賞。また、教育番組の世界的なコンクール「日本賞」の2012年度グランプリ受賞。 原作はスペインの漫画家パコ・ロカが描いた『皺』(第15回文化庁メディア芸術祭マンガ部門「優秀賞」受賞)。 ©2011 Perro Verde Films - Cromosoma, S.A.















