
©Lilies Films/©2021FreibeuterFilm•Rohfilm Productions
世界各地でLGBTQ+の権利や文化、コミュニティへの支持を示し祝福する「プライド月間(Pride Month)」である6月に、それぞれ同性愛を描いた映画の傑作として知られる『燃ゆる女の肖像』と『大いなる自由』の2作品の特別限定上映が決定!
『燃ゆる女の肖像』は2020年の日本公開からちょうど5年目の節目のリバイバル上映、そして各種サービスで未配信の『大いなる自由』は公開以来の貴重な再上映となる。
<上映作品>
『燃ゆる女の肖像』
監督・脚本:セリーヌ・シアマ
出演:アデル・エネル『午後8時の訪問者』、ノエミ・メルラン『パリ13区』『エマニュエル』
2019年/フランス/122分/フランス語/カラー/ビスタ/PG12 配給:ギャガ ©Lilies Films
望まぬ結婚を控える貴族の娘と、彼女の肖像を描く女性画家
結ばれるはずのない運命の下、一時の恋が永遠に燃え上がる──
生涯忘れ得ぬ痛みと喜びを人生に刻んだ恋を辿る 追憶のラブストーリー
画家のマリアンヌはブルターニュの貴婦人から、娘のエロイーズの見合いのための肖像画を頼まれる。だが、エロイーズ自身は結婚を拒んでいた。身分を隠して近づき、孤島の屋敷で密かに肖像画を完成させたマリアンヌは、真実を知ったエロイーズから絵の出来栄えを否定される。描き直すと決めたマリアンヌに、意外にもモデルになると申し出るエロイーズ。キャンバスをはさんで見つめ合い、美しい島を共に散策し、音楽や文学について語り合ううちに、恋におちる二人。約束の5日後、肖像画はあと一筆で完成となるが、それは別れを意味していた──。そのひとの眼差しを、唇を、微笑みを、そして別れの瞬間の姿を思い出すだけで、息が止まるほど愛おしく切なく、蘇る情熱が命を満たす。そんな鮮烈な恋の、決して消えることのない燃ゆる炎を描く、忘れ得ぬ愛の物語。
監督のセリーヌ・シアマは、デビュー作の『水の中のつぼみ』(07)でセザール賞新人監督作品賞にノミネートされるなど、本国フランスでは早くからその才能を評価され、独自の世界観を築いてきた。そして、長編映画4作目となる本作で、名立たるメディアや評論家から「映画史を塗り替える傑作」と最大級の称賛を浴びた。
『大いなる自由』
監督・脚本:セバスティアン・マイゼ
出演:フランツ・ロゴフスキ『希望の灯り』『バード ここから羽ばたく』、ゲオルク・フリードリヒほか
2021年/オーストリア、ドイツ/116分/R15+ 配給:Bunkamura ©2021FreibeuterFilm•Rohfilm Productions
この手に自由を、消せない愛を。
互いへの反発から絆へ──戦後のドイツで、男性同性愛を禁ずる刑法175条(1871~1994)のもと、
「愛する自由」を求め続けた男の20年を描く、静かな衝撃作。
第二次世界大戦後のドイツ、男性同性愛を禁じた刑法175条の下、ハンスは自身の性的指向を理由に繰り返し投獄される。同房の服役囚ヴィクトールは「175条違反者」である彼を嫌悪し遠ざけようとするが、腕に彫られた番号から、ハンスがナチスの強制収容所にいたことを知る。己を曲げず何度も懲罰房に入れられる「頑固者」ハンスと、長期の服役によって刑務所内での振る舞いを熟知しているヴィクトール。反発から始まった二人の関係は、長い年月を経て互いを尊重する絆へと変わっていく。3つの時代を行き来しながら、「愛する自由」を求め続けた男の20余年にもわたる闘いを描いた、静かな衝撃作。
主人公ハンスを演じたのは、ミヒャエル・ハネケ監督『ハッピーエンド』(17)やドイツ映画賞主演男優賞に輝いた『希望の灯り』(18)、『水を抱く女』(20)などで大きな印象を残し、アンドレア・アーノルド監督の新作『バード ここから羽ばたく』(24)日本公開の期待も高まるフランツ・ロゴフスキ。非人道的な法に踏み躙られながらも愛を諦めないハンスの消えない炎のような魂を、少ない言葉と雄弁な身体で表現している。