
野口里佳 《不思議な力 #9》 2014年 ©Noguchi Rika Courtesy of Taka Ishii Gallery
一人ひとり、歩いてきた。
そして今、ここで、見つめあう。
近年、国際的な注目を大きく集めている日本の写真表現。しかしこれまで、その代表として紹介される写真家はとかく男性に偏りがちでした。そうした中、2024年夏には、1950年代から今日まで、表現の世界において重要な役割を果たしてきた女性写真家に光を当てた書籍『I’m So Happy You Are Here』が英仏2か国語で刊行。これにあわせ開催された同名の展覧会は、フランス・アルル国際写真祭を皮切りに世界巡回を続けています。いずれも、新たな角度から日本の写真表現を辿り、その歴史を見直す画期的な出来事として高く評価されています。
その凱旋記念となる本展は、出品作家・展示内容を拡大し30名の女性写真家を紹介するものです。「写真」という枠組みを超え、インスタレーション、コラージュ、映像など、多様なアプローチによる作品約200点が一堂に集結。記憶、身体、日常、ジェンダーなど、様々なテーマに向けられた彼女たちのまなざしと、創造性に満ちたそれぞれの表現。数年後に拡大移転を控えたBunkamura ザ・ミュージアムが、あらゆる個性の渦巻く街・渋谷を舞台に、「写真」を通じて問いかける本展をお見逃しなく。
\日本展限定!見どころポイントをご紹介/
本展は、欧米巡回展の出品作家26名にさらに4名(今井壽惠、岩根愛、藤岡亜弥、米田知子)が加わり、総勢30名による女性写真家たちの作品が一堂に会する前例のない大規模展となります。展示内容も一部変更・拡張し、ヒカリエホールの広い空間を生かしたインスタレーションを実現(岩根愛、小松浩子、多和田有希、長島有里枝)。さらに観客参加型作品(澤田知子「OMIAI♡」人気投票)や映像プロジェクション(川内倫子、蜷川実花)など、ここでしか見ることができない大変貴重な内容となります。
<見どころ>
1 世界が注目する日本の女性写真家30名が渋谷に集結
記憶、身体、日常、ジェンダーなど
多彩なテーマでたどるそれぞれの軌跡
2 アルル国際写真フェスティバルを皮切りに
14万人を動員した大規模世界巡回展
拡大して待望の日本上陸
3 渋谷の街と溶け合い、広がり、発信する
ライブ感あふれる祝祭的展覧会
【出展作家(50音順)】
石内都/石川真生/今井壽恵/岩根愛/潮田登久子/岡上淑子/岡部桃/オノデラユキ/片山真理/川内倫子/小松浩子/今道子/澤田知子/志賀理江子/杉浦邦恵/多和田有希/常盤とよ子/長島有里枝/楢橋朝子/西村多美子/蜷川実花/野口里佳/野村佐紀子/原美樹子/ヒロミックス/藤岡亜弥/やなぎみわ/山沢栄子/米田知子/渡辺眸
島隆(※特別出展)
第1章 「写真」をめぐる冒険−想像力を解き放て!
「写真」とは、いったい何でしょうか。それは、撮るだけのものではありません。カメラを使わず印画紙に直接光を当てるフォトグラム、物質性を生かしたコラージュやモンタージュ。スライドプロジェクションやインスタレーションなど、空間的な展開もいまや珍しくありません。本章では、大胆な実験精神をもって「見ること」や「写真」をめぐる価値観を揺さぶる作品をご紹介します。写真は、もっと自由なのです。

岡上淑子 《招待》 1955年 ©OKANOUE Toshiko, Courtesy of The Third Gallery Aya
【第1章出展作家】
今井壽惠、岡上淑子、オノデラユキ、小松浩子、今道子、杉浦邦恵、多和田有希、蜷川実花、山沢栄子
第2章 「記録と記憶」をめぐる冒険−目に見えないものに向かって
カメラは目の前の光景を緻密に記録する一方、そのディティールやニュアンスを通じて、目に見えない他者の記憶や気配を喚起することができます。そこでこの章では、目に見える世界(記録)を通じて目に見えない世界(記憶)を掘り下げる作品をご紹介します。そこに共通するのは、歴史が個人の小さな記憶の集積であることを認識し、それらの小さな声に丁寧に耳を傾けようとする姿勢です。つまりそれは、歴史と現在をつなごうとする真摯な取り組みでもあります。
【第2章出展作家】
石内都、石川真生、岩根愛、志賀理江子、常盤とよ子、西村多美子、米田知子、藤岡亜弥、渡辺眸
第3章 「女性」をめぐる冒険−ジェンダー、身体、セクシュアリティ
あるがままの自分でありたい。誰もがそう願いながら、実際には容易ではない現実の背景には、女らしさや男らしさといった社会規範(ジェンダー)や外見至上主義(ルッキズム)など、様々な要因があります。とりわけ女性の身体はそうした価値観にさらされてきました。この章では、ジェンダーや身体をめぐる問題を多角度から探る作品をご紹介します。それらはカメラを通して自分の身体と向き合い、生きることの手触りを他者との関わりの中で確かめる、切実な試みなのです。

片山真理 《study for caryatid #001》 2023年 ©Mari Katayama, Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery and Galerie Suzanne Tarasieve, Paris, Mari Katayama Studio.
【第3章出展作家】
岡部桃、片山真理、澤田知子、長島有里枝、野村佐紀子、やなぎみわ
第4章 「日常」をめぐる冒険−見過ごされた風景の中で
冒険とは、日常とかけ離れた状況に身を置くことを言います。しかしだからといって、日常の中に冒険がないわけではありません。むしろ身近な日常に目を凝らし、そこに新たな価値を見出す冒険的な姿勢こそ、写真が得意とするもののひとつです。この章では様々な作品を通して、取るに足らないとして見過ごされてきた日常の光景に新たな視点を導入する可能性を探ります。その気づきは、一人ひとりが生きてゆく日々を肯定するための力になることでしょう。

川内倫子 《無題》(シリーズ〈Illuminance〉より) 2009年 ©Rinko Kawauchi
潮田登久子、川内倫子、楢橋朝子、野口里佳、原美樹子、ヒロミックス
日本展担当キュレーター
竹内万里子/TAKEUCHI Mariko (批評家・作家、キュレーター/京都芸術大学教授)
1972年東京生まれ。写真を専門とする批評家として国内外の新聞雑誌、作品集、図録への寄稿、共著書多数。フルブライト奨学金を受け渡米。東京国立近代美術館、国立国際美術館に客員研究員として勤務。「パリフォト」日本特集、「ドバイフォトエキシビジョン」日本部門など、数多くの展覧会をキュレーション。企画・翻訳に『あれから-ルワンダ ジェノサイドから生まれて』、単著に『矛盾の海へ』、『沈黙とイメージ 写真をめぐるエッセイ』などがある。京都在住。
展覧会「I’m So Happy You Are Here」とは
大型書籍『I’m So Happy You Are Here』(全440頁、Aperture刊・仏語版Editions Textuel刊)の刊行に合わせて、本書の共同編纂者であるポリーヌ・ヴェルマール(ブルックリン美術館写真キュレーター)、レスリー・A・マーティン(Printed Matter エグゼクティブ・ディレクター)、さらに本書寄稿者である竹内万里子の3名による共同キュレーションにより2024年夏、アルル国際写真祭にて開催された展覧会。その後、ハーグ(2025年1月〜5月)、フランクフルト(2025年5月〜9月)を経て、さらにロンドン(2026年6月〜9月)、ニューヨーク(2026年10月〜2027年1月)他へ巡回予定。今回の日本展は、この欧米巡回展を拡大させた特別バージョンであり、またロンドンのThe Photographers' Galleryとほぼ同時開催となる。
アルル国際写真祭とは
1970年からフランス・アルルで毎夏開かれる、世界最大規模かつ最古の写真祭。街に散在する歴史的建造物を会場に多彩な写真展やイベントが開かれ、世界の写真シーンに大きな影響力をもつ。
夏は渋谷で写真を楽しむ!
渋谷各所で「まなざしの奇跡」連携イベント開催決定
本展の開催を記念して、会期中は様々な角度から「写真」にアプローチする連携企画をヒカリエホールを中心に実施します。
Bunkamura Gallery 8/ (渋谷ヒカリエ8F)
7名の女性写真家たちがそれぞれの「いま」を切り取る
「STILL/LIFE 静寂の余韻に」7/4(土)~20日(月・祝) 開催!
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 (渋谷東映プラザ内) ※渋谷ヒカリエから徒歩1分
「まなざしの奇跡」展の開催を記念し、
8月に特別関連上映企画を実施!
MINA(Museum of Imaginary Narrative Arts) (渋谷区渋谷) ※渋谷ヒカリエから徒歩3分
東急(株)がアーティストと展開する新施設、4月1日にオープン。
7月に関連展示実施決定!
連携企画は今後も追加予定!
詳細は決定次第展覧会ホームページでお知らせします。
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