
©XXIV All rights reserved
支配と服従、自我の目覚め。
『哀れなるものたち』(23)につながる監督の原点がここにある。
アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、カンヌ「ある視点」部門でグランプリを受賞
ギリシャが生んだ巨匠ヨルゴス・ランティモス、キャリア初期の代表作が4Kレストア版にて蘇る
2009年、世界中を驚愕させたヨルゴス・ランティモス監督のカンヌデビュー作『籠の中の乙女』が4Kレストア版として復活する。本作で確立された唯一無二の奇妙で異常な描写は、ランティモス監督のその後の作品でも表出し、傑作揃いのフィルモグラフィーを彩ってきた。2023年、同監督作『哀れなるものたち』がアカデミー賞主演女優賞・美術賞・衣装デザイン賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞を果たし、興行的にも全世界で大ヒットを記録したが、『籠の中の乙女』はその原点ともいうべき、「支配と服従、自我の目覚め」についての物語である。
ランティモス監督は本作について、「私が描きたかったのは、人の心を操作しようとすること、自分の意のままに何かを信じ込ませようとすることが、相手をどこまで極端に走らせてしまうかということです」と語っているが、まさに、その制作意図が表現されたビジュアルと予告編となっている。ランティモス監督の奇妙で不思議な世界を、ぜひ4Kレストア版の美しい映像で体感してほしい。
<Story>
ギリシャのとある家。ごく普通に見えるこの家には秘密があった。両親が子どもたちを「家の中」だけで育ててきたのだ。邸宅の四方に高い塀をめぐらせ、外の世界がいかに恐ろしいかを信じ込ませるために作られた奇妙で厳格なルールの数々。だが、青年期に達した子どもたちは、親たちの想像を超えた行動を取り始める。