失恋の痛みを忘れるため 記憶を消せるとしたら?
チャーリー・カウフマン×ミシェル・ゴンドリー 奇跡的な化学反応によって生まれた大傑作
21世紀最高の「忘れられない」ラブストーリー、35mmフィルムで限定上映!
失恋の痛みを忘れるため 記憶を消せるとしたら?
そんな「もし」を描いた映画『エターナル・サンシャイン』。2004年に全米公開されると、その魔法のような独創性と、ビターでロマンティックな物語によって共感を集め、第77回アカデミー賞で見事脚本賞を受賞した。あれから20年、『エターナル・サンシャイン』は今年日本公開の話題作『パスト ライブス/再会』の劇中でも言及され、アリアナ・グランデが今年発表したアルバムのタイトルに引用。また、世界的な映画レビューサービス“Letterboxd”が今年5月に発表した「最もファンの多い映画ランキング」では第6位にランクインするなど、多くの人にとってますます「忘れられない」ものとなっている。
チャーリー・カウフマン×ミシェル・ゴンドリー 奇跡的な化学反応によって生まれた大傑作
この「21世紀最高のラブストーリー」を作り上げたのは、ふたりの天才だった。『マルコヴィッチの穴』でスパイク・ジョーンズの監督デビューを支え、近年も『もう終わりにしよう。』で絶賛された唯一無二の脚本家チャーリー・カウフマン。彼が書いた大胆かつ緻密な脚本を、ビョーク、ダフトパンク、レディオヘッドなど名だたるミュージシャンのビデオを手がけた「映像の魔術師」ミシェル・ゴンドリーが見事に映画化。ふたりの奇跡的な化学反応によって、この大傑作が生まれた。ジョエルとクレメンタインを演じたのは、脚本を読んで自ら出演を熱望したというコメディアンのジム・キャリー、そして自らが演じた役柄の数々でも「今作のクレメンタインが特にお気に入り」と最近も語ったケイト・ウィンスレット。また、脇を固めるキルスティン・ダンスト、マーク・ラファロ、イライジャ・ウッドの3人も、いまやそれぞれにトップスターとなったその魅力を強烈に感じさせる。
映画を彩る「忘れられない」サウンドトラック×ベックが歌う主題歌
本作を「忘れられない」映画にしているもうひとつの大切な存在、それはサウンドトラックだ。オリジナルスコアを担当したのは、アメリカを代表する名プロデューサー/SSW/演奏家のジョン・ブライオン。感傷と高揚、そしてノスタルジーを完璧に表現した繊細な楽曲は映画史上でも指折りのスコアとされ、マック・ミラーやプーマ・ブルーら数々のアーティストが自曲にサンプリング。さらに本作のスコアにほれ込んだミラーやカニエ・ウェストらが自作のプロデュースを依頼、その後もブライオンはビヨンセの『Lemonade』やフランク・オーシャンの『Blonde』も手掛けるなど、歴史的な名盤での活躍に繋がっていく。そして映画を締めくくるのは、ベックが歌う主題歌“Everybody’s Gotta Learn Sometime”。エンドロールの最後、本作のテーマ/構造と呼応するかのようなフィードバックノイズが、せつなくも優しくスクリーンに響きわたる。
誰しもに起こり得るありふれた失敗と胸の痛み、それを乗り越えるラブストーリー
『エターナル・サンシャイン』が描くのは、禁断の恋でもなければ、きらめくようなおとぎ話の恋でもない。人間関係において誰しもに起こり得るありふれた失敗と胸の痛み、そしてその痛みを互いに見つめ直すことで、失敗をともに乗り越えられるかもしれないという希望──それこそが、甘く苦い恋のかけがえのない本質であるということ。わたしたちの愛がいかに脆く、しかしその脆さゆえに永遠のものになりえるのだと、この映画は光のように祝福する。
【STORY】
2004年のバレンタイン。
ジョエルは元恋人のクレメンタインが、自らの記憶を消す手術を受けたと知って動揺し、彼自身もクレメンタインとの記憶を消そうとラクーナ医院へ駆け込む。施術を受け、彼女との日々を追想していくジョエル。ひとつひとつの記憶が消されていき、やがて彼は「この記憶を消したくない」と思い始める。そして最後の記憶が消されようとする瞬間、記憶の中のクレメンタインもまた「忘れないで、また会いに来て」と彼に語り掛けるのであった。次の日、何事もなかったかのように朝を迎えたジョエルは、本当の愛と向き合うこととなる。