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2021年カンヌ国際映画祭ある視点部門 審査員賞受賞
2022年アカデミー賞 国際長編映画賞 オーストリア代表作品
この手に自由を、消せない愛を。
第二次大戦後のドイツで、男性同性愛を禁ずる刑法175条(1871~1994)のもと、愛する自由を求め続けた男の20余年にもわたる物語
戦後ドイツ、男性同性愛を禁ずる刑法175条のもと 愛する自由を求め続けた男の 20余年にもわたる物語
不条理な迫害の歴史の中で、愛と自由の本質を見つめた、静かな衝撃作。 第二次世界大戦後のドイツ、男性同性愛を禁じた刑法175条の下、ハンスは自身の性的指向を理由に繰り返し投獄される。同房の服役囚ヴィクトールは「175条違反者」である彼を嫌悪し遠ざけようとするが、腕に彫られた番号から、ハンスがナチスの強制収容所にいたことを知る。己を曲げず何度も懲罰房に入れられる「頑固者」ハンスと、長期の服役によって刑務所内での振る舞いを熟知しているヴィクトール。反発から始まった二人の関係は、長い年月を経て互いを尊重する絆へと変わっていく。終戦後の1945年、恋人と共に投獄された1957年、そして刑法改正が報じられた1968年――3つの時代を行き来しながら、「愛する自由」を求め続けた男の20余年にもわたる闘いを描いた、静かな衝撃作。
ドイツ刑法175条(1871〜1994)
1871年に制定された男性同性愛※を禁じる刑法。ナチ期に厳罰化され、戦後東西ドイツでそのまま引き継がれた。西ドイツでは1969年に21歳以上の男性同性愛は非犯罪化され、1994年にようやく撤廃された。約120年間に14万もの人が処罰されたといわれる。
※刑法175条は男性のみを対象としており、女性同性愛はその存在さえ否定されたことから違法と明記されていなかった。
「この作品の虜だ」(フランシス・リー監督『ゴッズ・オウン・カントリー』)
言葉よりも、雄弁――刑務所という特殊な環境下で育まれた、名付けようもないふたりの関係 愛する自由を切望する消えない炎のような魂
主人公ハンスを演じたのは、ミヒャエル・ハネケ監督『ハッピーエンド』(17)やドイツ映画賞主演男優賞に輝いた『希望の灯り』(18)、現代ドイツ映画を代表する作家クリスティアン・ペッツォルト監督の『未来を乗り換えた男』(18)、『水を抱く女』(20)などで大きな印象を残した次世代スターで、ダンサー・振付師でもあるフランツ・ロゴフスキ。非人道的な法に踏み躙られながらも愛を諦めないハンスの消えない炎のような魂を、少ない言葉と雄弁な身体で表現している。当初はハンスを嫌悪しながらも、次第に心をほどいていくヴィクトールを演じたのは、演技派ゲオルク・フリードリヒ。唯一無二の関係性を絶妙な距離感で具現化した二人のケミストリーは各国メディアから激賞された。監督は、オーストリアの俊英セバスティアン・マイゼ。撮影監督は『燃ゆる女の肖像』(19)のセリーヌ・シアマ監督が初期代表作でタッグを組んだクリステル・フルニエ。「レンブラントの絵画のよう」と評された美しい陰影は観るものを魅了して離さない。
カンヌを皮切りに世界各国の映画祭を席巻し、2022年レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~でも絶賛が相次いだ待望作がついに劇場公開。6月新たにオープンとなるBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて、是非ご覧ください。