
©1987 REVERSE ANGLE LIBRARY GMBH and ARGOS FILMS S.A.
すべてのかつての天使たちに捧ぐ──
ドイツ映画史に残るヴィム・ヴェンダース監督不朽の名作を2週間限定上映
壁に隔てられたベルリンの街を傍観する天使達。彼らは地上の人々の心の声に耳を傾け、人間世界の物語や歴史を見守り続けてきた。そっと人の傍に寄り添う彼らの姿は、なぜか子供にしか見えない。天使ダミエルは日々人間の様子や自然の在り方を観察するにつれ、人間界に身を置きたい、そこで“生きて”みたいと考えるようになっていた。
そんな時、サーカスショーで美しく空中ブランコで舞うマリオンに出逢う。彼女が独り部屋で呟く「愛したい…」という言葉を聞き、マリオンに強く惹かれるダミエル。彼はやがて彼女への愛に生きたいと決心する。人間に恋をするという事は、天使の“死”を意味するのに…。
主人公ダミエルを演じるのは、2019年2月16日に惜しくも亡くなった名優ブルーノ・ガンツ。ダミエルの相談にのる天使カシエルを演じるのはオットー・ザンダー。ふたりはプライベートでも親友同士であったという。そのほかピーター・フォークやニック・ケイブが本人として出演、強烈な印象を残す。魔法的というほかない映像を紡いだのは、『ローマの休日』やアラン・ロブ=グリエ監督『囚われの美女』などで知られる撮影監督アンリ・アルカン。
この翼さえいらない。貴女に触れ、愛せるのなら──
1987年にカンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した本作が描くのは、当時の人々が超えることのできない東西を越境できる存在であると同時に、人間に触れ、人間に恋をすることの許されない「天使」たち。彼らにとってそれが死を意味することであっても、天使は愛のために「壁」を超えようとする──。
ベルリンの壁が崩壊してちょうど30年を迎える今年、Bunkamuraル・シネマではベルリンの壁崩壊後の旧東ドイツが舞台の『希望の灯り』(絶賛上映中)、そして「壁」建設直前、冷戦下の東ドイツでの実話を描いた『僕たちは希望という名の列車に乗った』(5/17公開)の2本の新作ドイツ映画も上映。不朽の名作とあわせてぜひスクリーンでお楽しみください。