
©Photo of Robert Frank by Lisa Rinzler, copyright Assemblage Films LLC
23歳で単身スイスからNYへ渡った異邦人──全米を旅して撮影した写真集「アメリカンズ」の成功
写真家を志し、自作のポートフォリオを持って23歳でスイスから単身渡米したロバート・フランク。「ハーパーズ バザー」や「ヴォーグ」でファッション写真、「フォーチュン」等でフォトジャーナリズム作品を発表した後、グッゲンハイム財団の奨学金を受けて、アメリカ全土へ撮影の旅に出る。その集大成となった1958年の写真集「The Americans」は、繁栄と理想に沸く大国の真の姿を捉えて “20世紀のアメリカの在り方を大きく変えた一冊” と称された。1960年代からは映画にも活動の幅を広げ、米インディ映画の祖としてジム・ジャームッシュやリチャード・リンクレーター監督らにも影響を与えた。
商業化する芸術への絶望、最愛の娘と息子の早世…人生に立ち向かうための勇気のメッセージ
しかし、フランクの人生は順風満帆ではなかった。彼の意に反して作品が法外な価格で落札されはじめると、信頼していた弁護士に著作権を奪われてしまう。また、最愛の娘を飛行機事故で亡くした後、息子にも先立たれるなど、多くの不運に見舞われていた。本作は92歳となったフランクが自らの人生を初めて語り、過酷な運命の暗闇にも生きる悦び(=創作)を見つけ、進み続けた偉大なるアメリカの異邦人から次世代へのメッセージ。運命とのつきあい方、それは「恐れず、立ち上がり、瞬きせずに(don’t blink)」
フランクを敬愛する一流スタッフ・ミュージシャンが結集──奇跡の「レガシー・プロジェクト」がここに誕生
監督は、長年フランクの映像作品の編集を担当し、彼が全幅の信頼を寄せるローラ・イスラエル。アメリカを代表する撮影監督エド・ラックマン(トッド・ヘインズ『キャロル』等)や、音楽プロデューサーにハル・ウィルナーが参加。楽曲はローリング・ストーンズ、ボブ・ディラン、パティ・スミス等の豪華な面々が提供している。また、映画『世界一美しい本を作る男』で知られ、フランクの全作品(写真、映像)を出版するThe Robert Frank Projectを進める独シュタイデル社のゲルハルト・シュタイデルや、生前のアレン・ギンズバーグやウィリアム・バロウズなど、彼と縁の深い友人らも登場。
Who is Robert Frank?
1924年スイス生まれ。1947年に単身渡米。ルイス・フォアやウォーカー・エバンスに師事し、グッゲンハイム財団の奨学金を受け撮影した「The Americans」を1958年に出版。その後、映画にも活動の幅を広げ、ビートニクの作家たちを映した『プル・マイ・デイジー』(1959)、ローリング・ストーンズの北米ツアーに同行した『コックサッカー・ブルース』(1972)、トム・ウェイツやジョー・ストラマーも出演した『キャンディ・マウンテン』(1987)などを監督。現在、美術作家の妻ジューン・リーフと、NYとカナダのノバスコシアに暮らす。
世界で最も有名な写真集「The Americans」
撮影期間:9ヶ月
移動距離:10,000マイル
撮影したフィルム:767本
作品のクリスティーズ落札価格:55万ドル
(※「路面電車」/1ドル113円換算で約6,200万円)