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1950年代後半のフランクフルト。ナチス戦犯の告発に執念を燃やす検事長フリッツ・バウアーのもとに逃亡中のナチス親衛隊中佐アイヒマン潜伏に関する手紙が届く。アイヒマンの罪をドイツで裁くため、国家反逆罪に問われかねない危険も顧みず、その極秘情報をモサド(イスラエル諜報特務庁)に提供する。しかしドイツ国内に巣食うナチス残党の妨害や圧力にさらされたバウアーは、孤立無援の苦闘を強いられていくのだった……。
1960年、世界を震撼させたナチス戦犯アドルフ・アイヒマン拘束。この歴史的捕獲作戦を実現へと導いた陰のヒーローがいた。その男の名はフリッツ・バウアー検事長。歴史上極めて重要なこの人物は、いかにして消息不明のアイヒマンを発見し、追いつめていったのか─。彼の死後長らく封印されていた真実が半世紀を経て初めて明らかにされる。権威あるドイツ映画賞で『帰ってきたヒトラー』などの話題作を抑え作品賞、監督賞、脚本賞など最多6冠に輝き、世界中の映画祭を席巻中の本作。メガホンをとったのはドイツの気鋭監督ラース・クラウメ。主人公フリッツ・バウアーには『ヒトラー暗殺、13分の誤算』ほか、ハリウッド大作『ブリッジ・オブ・スパイ』にも出演している名優ブルクハルト・クラウスナー。バウアーと共に闘う若き検事に『東ベルリンから来た女』『あの日のように抱きしめて』などで日本でも知られる存在となったロナルト・ツェアフェルト。そのほか、ドイツ内外で活躍する俳優たちが揃った。さらに、全編を通して印象的に流れるジャズの音色が緊迫感溢れる本作に彩りを加えている。
<極秘作戦>の裏側を濃密かつサスペンスフルなタッチで描いた本作は、上質なミステリー映画さながらのスリルと知的好奇心をかき立てるとともに、人間の尊厳や正義といった普遍的なテーマを力強く伝える。さらに、1961年のアイヒマン裁判を扱った『ハンナ・アーレント』、1963年~1965年アウシュヴィッツ裁判を題材にした『顔のないヒトラーたち』の"前日談"ともいえる歴史映画ファン必見の一作。
~アドルフ・アイヒマンとは~
ナチス政権下で600万人ものユダヤ人を強制収容所へ移送させ、ユダヤ人問題の最終解決=ホロコーストの中心的役割を担った人物。階級は親衛隊中佐。第二次世界大戦でドイツが敗北すると海外へ逃亡。拘束の翌年エルサレムの法廷へと引きずり出され、世界中に中継された"アイヒマン裁判"は人々に衝撃を与えた。