
「Don’t eat me! そーっと、いる」
板、アクリル
51×28.5cm 2022年
足元の小さな世界の、
たべたりたべられたりの話。
小さな世界から、大きな世界へ、
大きな世界から、もっと大きな世界へ、
宇宙まで。
ぐるぐるまわっていく話です。
そして小さな世界にまた戻る。
仮屋美紀
花や動物、食べ物。当たり前のようにそこにある何気無いものたちを、独自のフィルターを通して描き取る仮屋美紀。普段意識しないものだからこそ、その一瞬の表情を大切に捉え表現してきました。Bunkamura Galleryで2度目の個展となる本展では、癒される、ほっとする、そんなあたたかい“日常”をテーマとしてきたこれまでの作品群から一変し、作家の視点で編纂された物語のような不思議な世界観を放つ新作群をご紹介いたします。
捕食者であるウサギと、ウサギから逃れるキノコウサギを描いた新作「Don’t eat me!」シリーズ。
キノコはウサギに食べられぬよう、様々な工夫を凝らします。逃げて、隠れて、奇妙な色に自分を染めて。キノコなのに、ウサギになって。そんなキノコウサギの“しあわせ”とは、一体……。
丁寧にアクリルを塗り重ねた木製パネルの上で色彩が弾ける、ユニークな筆致が物語を編むようにモチーフを描き出す、まるでお伽話の世界。しかし見入るほどに広がる世界はその実、妙にリアルに生々しく、寓話めいているのかも知れません。かわいいけれど、ちょっぴりこわい、新たな仮屋ワールドをご体感ください。