「生と死」「現実と夢」対比する両極端の光景が一つの画面上に紡ぎ出されたとき、かつてない不思議な感覚を呼び起こす・・・
国内外のアートフェアや展覧会だけでなく、書籍の表紙・映画のメインビジュアルを担当するなど近年目覚しい活躍を見せる画家・田中千智。
独自の死生観を魅惑的な対象と大胆な余白で描き出し、見る者の内心を揺さぶる強烈な印象を与えます。
自らの心を宿すかのように何層にも塗り重ねられたアクリル絵の具は、穏やかにそして丁寧に漆黒の背景を生み出していきます。そんな、静かに広がるフラットなキャンバスに油彩の筆を置いた時、新たな創造が動き始めるのです。
背景の美しい黒の上に力強く並べられた色彩は、人物を描き、風景を現し、時に空想世界をも生み出していきます。
そこに浮かぶは、希望に満ちた未来か、孤独を想う現実か・・・
漆黒の闇が与える様々な物語は、我々が内に秘めた想いを具現化していくかのようです。
困惑した気持ちに引き込まれるように、様々な意識が交差する記憶のコントラストを是非ご覧ください。