
斎藤真一「紅いヴァイオリン」1986 油彩
画家・エッセイストとして活躍した斎藤真一(1922-1994)は、盲目の女性旅芸人「瞽女(ごぜ)」を越後を中心に自らの足で訪ね、多数の作品を描き上げた。それは留学で訪れたフランスで藤田嗣治の勧めで東北の旅へ向かった先での出会いから始まったものであった。
またヨーロッパ滞在時代から晩年までよく見られる帽子を被り楽器を持った自画像と思われる男性が登場する「さすらい」シリーズと呼ばれる作品らは、どこか寂し気なその佇まいを描いている。それもまた放浪しながら芸を生業として生きる人物像である。
画家としてだけでなくエッセイストとしても数々の賞を受賞、明治の吉原を舞台に描いた著書『吉原炎上』は映画化され絵画作品も多数残している。
今展では代表作『越後瞽女日記』『さすらい』シリーズを中心に油彩・水彩・版画など50点ほど展示。斎藤芸術を敬愛する野田雄一(ガラス作家)、金沢碧(女優・ガラス作家)によるオマージュ作品も加え、斎藤真一の芸術の本質に迫る生誕100年を回顧する記念展となる。
忘れてはならない日本文化を再認識させる作品群と哀愁に満ちた美しさ。じっくりと感じながらご鑑賞いただきたい。
<斎藤真一生誕100年記念イベント開催!>
『金沢 碧ひとり、かたり』
女優でガラス作家の金沢碧による、斎藤真一作品に合わせた朗読。
日時:2022年7月9日(土) 16:00~16:30
会場:Bunkamura Gallery
◆入場無料・予約不要◆
直接会場までお越しください。
※注意事項
会場準備のため、15:20~15:50は会場一部閉鎖いたします。ご了承ください。