パリの街角、ポスターに向かってニヤニヤする子どもたちを見かけたなら、そのポスターはきっと、ポスター作家レイモン・サヴィニャック(1907~2002)のデザインでしょう。
パリではそんな子どもから大人まで、誰もに大人気!ポスターの中のハッピーなキャラクターたちを見ると、自分まで自然と楽しい気分になってくる。人生って楽しいもんだよ、と語りかけてくるような、たくさんのときめきがそのポスターには詰まっている。
自伝の中で自らを「グラフィックの大道芸人」と名乗るように、見る人をくすっと和ませる、ユーモアあふれるデザインこそサヴィニャックポスターのチャーミングポイント。ですがもちろん、それだけではサヴィニャックの魅力は語りつくせません。シンプルな構図と色彩、限りなく少ない情報を用いて商品の特徴を簡潔にまとめあげます。
サヴィニャックにとってポスターはコミュニケーションの道具、いかにシンプルに、いかに効果的に人々に商品の魅力を伝えるかが肝でした。
2002年に94歳でこの世を去ったレイモン・サヴィニャックは、様々な広告デザインを手掛け数多くの作品を世に送り出しました。日本では2005年にサントリーミュージアム(天保山)、2006年に川崎市民ミュージアム、2017年には5つの美術館を巡回するなど大規模な回顧展が開かれ、没後ますます評価と注目を集めています。街を歩くあらゆる人々が思わず足を止めて見つめてしまうサヴィニャックのポスターは、時を駆け巡り、現在・過去問わず世界中の人々に愛され続けているのです。
没後20年を記念する今回のレイモン・サヴィニャック展では貴重な原画と合わせポスター作品を多数集めて、サヴィニャックのエッセンスを凝縮しました。
「ユーモアは魔法の薬。ストレスから心を解放し、頭を回転させ、自由な発想を育む。それは日々、味わうべきもの。」
さあ、あなたも心温まるサヴィニャックランドで羽を伸ばしてみないかい?