宗教と言う概念が生まれる以前、自然に対する畏怖と敬愛の念を持っていた古代の人々によって描かれた壁画・地上絵。古の人々が見たであろう燦々と輝く眩いばかりの星々やオーロラから放たれる神秘のベールは、人工的な灯りやスモッグにまみれた現代都市に生きる我々には見ることが出来ない。
文明が発展し、宇宙に飛び出せる科学力を持った時世でも尚、オーロラや星座など古代から変わることない森羅万象の自然を追い求め、その神秘を描き続けている西美公二。北半球の最果てを巡り、毎年オーロラを取材する中で、歴史に刻まれた悠久の時間と無限に拡がる幻想的な自然界に深い感銘を受けた。
類い希なる探究心によって、天地万物の現象を落とし込んだ西美の作品群。我々の手には届きそうで届かない広大な宇宙と体験し得ない古代の世界が、作品を通して目の前で交錯する不思議な情景を、是非ご覧いただきたい。