映像の世界でも脚光を浴びる演劇界の異才、三浦大輔
3年ぶりの書き下ろし新作でシアターコクーンに三度の登場!
人生をドラマチックに彩りたがる人間のエゴをあぶり出す、三浦大輔の新たな衝撃作が誕生!!
売れない俳優、菅原裕一役に岡田将生。売れないミュージシャン、今井伸二役にコクーン初登場となるロックバンド銀杏BOYZの峯田和伸。
役柄が現実とは真逆ともいえるこの二人の男が新宿歌舞伎町で10年振りに再会。
自分達の身の上には、「ドラマ」なんて起こるはずがないと、諦めていた二人だったが、ある事件により、いよいよ二人が主人公のドラマが幕を開けた!かのように見えたが…。
今井の後輩役に柄本時生、菅原の恋人役に内田理央、事件のキーマンとなる橋本浩二役に星田英利、物語の中核を担う歌舞伎町のスナックのママ・橋本智子役を寺島しのぶが演じる。さらに、宮崎吐夢、米村亮太朗と個性豊かな俳優陣が集結。
舞台にとどまらず、映画監督としてのキャリアも積み上げた三浦大輔3年ぶりの書き下ろし作を満を持して上演!
そんなとき…二人の身に、わかりやすすぎるくらい、大きな『事件』が降り掛かる。二人は、たまたま出くわした、とある中年男と争いになり、男を突き飛ばしてしまう。男の頭からは大量の血が流れ――!! その場に訪れた俳優の彼女、ミュージシャンの友人、そして彼らを助けるスナックのママを巻き込んで、脇役も出揃ったかのように、二人が主人公の『ドラマ』は、いよいよ幕を開けた!かのように見えたが…
二人は、歌舞伎町の街並みを眺め、呟く…。
「そもそも、この世の中に『物語』など存在するのだろうか…」
新宿・歌舞伎町のゴジラロードを通り過ぎ、映画館に向かう人波。“物語なんてない”猥雑な街並みと、“物語を求める人間”が一緒くたになった歪な風景を見たとき、ここを舞台にしようと決めた。
自分自身、舞台や映画をつくりながら「なぜ、こんな都合がいい出来事ばかりを並べているんだ?」と違和感を感じることがある。歌、小説、絵画といった芸術、あるいはニュース番組……
「人生は物語だ」という言葉も都合のいい理屈、所詮は自分の人生をドラマチックに彩りたがる人間のエゴで、むしろドキュメンタリー番組だったら使われない部分、人生の残りカスが本質かもしれない。「人間、所詮そんなものだ」という諦念を描くのではなく、『世の中』というもの自体の“あら”や“だらしなさ”のみを抽出し、そこに執着し、キレイごとやメッセージなしで、この世界の矛盾を暴く――
そんなことを試みたい。
<プロフィール>
1975年12月12日北海道出身。
早稲田大学演劇倶楽部を母体として、1996 年 12 月、演劇ユニット「ポツドール」を結成。以降、全本公演の脚本・演出をつとめる。2006 年『愛の渦』で、第50回岸田國士戯曲賞受賞。2010 年、ドイツで行なわれたTHEATER DE WELT 2010(世界演劇祭)に招聘され、ポツドール『夢の城』を初の海外公演として実施。以降、KUNSTEN FESTIVAL DESARTS(ブリュッセル)、ウィーン芸術週間、FESTIVAL TRANSAMERIOQUES(モントリオール)他、合計4ヵ国、5公演。また『愛の渦』でBerliner Festspiele(ベルリン)公演、フェスティバル・ドートンヌを含むフランスツアーを行うなど、海外でも高い評価を得ている。
映像作品は、2014年岸田戯曲賞を受賞した同名の舞台を映画化した『愛の渦』、2016年に朝井リョウ原作の映画『何者』、自身の舞台が原作となる映画『裏切りの街』、2018年に映画版『娼年』が公開。そして2019年フェイクドキュメンタリー『人間の証』(フジテレビ/脚本・総合監督)が放送された。Bunkamuraシアターコクーンには2015年『禁断の裸体- Toda Nudez Será Castigada- 』の演出で初登場、2018年にはオリジナル戯曲『そして僕は途方に暮れる』を自ら演出した。その舞台を原作とした映画『そして僕は途方に暮れる』が2022年全国公開予定。