物語なき、この世界。

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    INTRODUCTIONみどころ

    自分人生をドラマチックに
    人間のエゴをあぶり

    作家・安部公房は「物語とは、因果律によって世界を梱包してみせる思考のゲームである」と看破した。あらゆるものに因果(物語)を見てしまうのが人間、生きるために脳内に発動してしまうものが物語――この夏、この人間の“サガ”をあぶり出すような舞台が誕生する。

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    作・演出を手がけるのは、若者の生態、現代人の悲哀、剥き出しの欲望、人間の“リアル”を常に妥協なく、時に冷徹な視線で描いてきた三浦大輔。今回のクリエイションの根幹について三浦は「歌、小説、絵画といった芸術、あるいはニュース番組……『人生は物語だ』という言葉も都合のいい理屈、所詮は自分の人生をドラマチックに彩る人間のエゴで、むしろドキュメンタリー番組だったら使われない部分、人生の残りカスが本質かもしれない」と語る。

    次々とセンセーショナルな舞台を放ってきた鬼才、3年ぶりの新作の舞台は、新宿・歌舞伎町だ。売れない俳優・菅原裕一役に岡田将生、売れないミュージシャン今井伸二役に、シアターコクーン初登場、ロックバンド銀杏BOYZの峯田和伸が決定した。今井の後輩役に柄本時生、菅原の恋人役に内田理央、事件のキーマンとなる橋本浩二役に星田英利、物語の中核を担う歌舞伎町のスナックのママ橋本智子役に寺島しのぶ、さらには、宮崎吐夢、米村亮太朗と個性豊かな俳優が集結することとなった。

    「三浦さんの監督映画『何者』の撮影の時は、役の正解を一緒に徹底的に諦めずに探してくださったんです。そんな経験もあり『ぜひもう一度三浦さんの演出を受けたい』と願っていたので、一カ月間濃密な時間が過ごせる舞台稽古が、今から待ち遠しいです」(岡田)、「三浦さんからはずいぶん前から『また舞台に出てよ』と言われていましたし、再びその機会が来る覚悟はしていました。『この人の作るものは絶対に面白い』という確信めいたものがある」(峯田)、「私が好きなところをグッと突いてくるクリエイターであり、求めることは過酷でも不思議と演じていて爽快感があり、台本も『うん、これ言いたい』という台詞がたくさん散りばめられているんです」(寺島)と、俳優たちも厚い信頼を寄せる。

    観客の眼前に“物語なき、世界”の風景が立ち上がる瞬間まで、もうすぐだ。

    文・川添史子

    STORYストーリー

    舞台は新宿歌舞伎町。人々は皆、猥雑なネオン看板が軒を連ねる通りを抜け、突き当たりにある映画館に向かって歩いていく…。空虚な街並みに抗うように、何かしらの『物語』を求め、歩いていく…。そこで、『ドラマ』の主人公に憧れる、売れない俳優と、人生に『ドラマ』を求める、売れないミュージシャンが、うらぶれた風俗店で10数年ぶりに邂逅する。その出会いは、『運命』というには間抜けすぎ、二人のお互いへの想いは、『友情』という言葉で言い表すには、あまりにも軽薄で浅はかだった…。「自分達の身の上には、『ドラマ』など起こり得ない」唯一、二人を結びつけたものは、それぞれの人生に対する、共通した『諦念』しかなかった…。

    そんなとき…二人の身に、わかりやすすぎるくらい、大きな『事件』が降り掛かる。二人は、たまたま出くわした、とある中年男と争いになり、男を突き飛ばしてしまう。男の頭からは大量の血が流れ――!! その場に訪れた俳優の彼女、ミュージシャンの友人、そして彼らを助けるスナックのママを巻き込んで、脇役も出揃ったかのように、二人が主人公の『ドラマ』は、いよいよ幕を開けた!かのように見えたが…

    二人は、歌舞伎町の街並みを眺め、呟く…。

    「そもそも、この世の中に『物語』など存在するのだろうか…」

    PLAYWRIGHT/DIRECTOR作・演出

    三浦大輔
    ©加藤アラタ

    三浦大輔

    プロフィール

    1975年12月12日北海道出身。早稲田大学演劇倶楽部を母体として、1996年12月、演劇ユニット「ポツドール」を結成。以降、全本公演の脚本・演出をつとめる。2006年『愛の渦』で、第50回岸田國士戯曲賞受賞。

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    2010年、ドイツで行なわれたTHEATER DE WELT 2010(世界演劇祭)に招聘され、ポツドール『夢の城』を初の海外公演として実施。以降、KUNSTEN FESTIVAL DESARTS(ブリュッセル)、ウィーン芸術週間、FESTIVAL TRANSAMERIOQUES(モントリオール)他、合計4ヵ国、5公演。また『愛の渦』でBerliner Festspiele(ベルリン)公演、フェスティバル・ドートンヌを含むフランスツアーを行うなど、海外でも高い評価を得ている。
    映像作品は、2014年岸田戯曲賞を受賞した同名の舞台を映画化した『愛の渦』、2016年に朝井リョウ原作の映画『何者』、自身の舞台が原作となる映画『裏切りの街』、2018年に映画版『娼年』が公開。そして2019年フェイクドキュメンタリー『人間の証』(フジテレビ/脚本・総合監督)が放送された。Bunkamuraシアターコクーンには2015年『禁断の裸体 -Toda Nudez Será Castigada-』の演出で初登場、2018年にはオリジナル戯曲『そして僕は途方に暮れる』を自ら演出した。その舞台を原作とした映画『そして僕は途方に暮れる』が2022年全国公開予定。

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    CASTキャスト

    • 岡田将生

      岡田将生

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      岡田将生(おかだ・まさき)プロフィール

      1989年生まれ、東京都出身。2006年にデビュー、近年では舞台『ハムレット』やTVドラマ『書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~』『大豆田とわ子と三人の元夫』、映画『星の子』、『さんかく窓の外側は夜』などに出演。『Arc アーク』『ドライブ・マイ・カー』『CUBE』の公開を控える。

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    • 峯田和伸

      峯田和伸

      プロフィール

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      峯田和伸(みねた・かずのぶ)プロフィール

      1977年生まれ、山形県出身。銀杏BOYZのボーカル&ギター。2003年映画『アイデン&ティティ』で主演を務め、役者デビューを果たす。2016年、NHK BS プレミアムドラマ『奇跡の人』で連続ドラマ初主演を務め、第71回文化庁芸術祭でテレビ・ドラマ部門の大賞を受賞。2017年、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』に出演。最新作は日本台湾合作映画『越年Lovers』に出演。

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    • 柄本時生

      柄本時生

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      柄本時生(えもと・ときお)プロフィール

      1989年生まれ、東京都出身。2005年、映画 Jam Films S『すべり台』で主演デビュー。『きみの友だち』『ホームレス中学生』など2008年の出演作品により、第2回松本CINEMAセレクト・アワード最優秀俳優賞を受賞。近年では舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』や映画『BLUE/ブルー』、TVドラマ『バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~』、Netflix『全裸監督シーズン2』などに出演。

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    • 内田理央

      内田理央

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      内田理央(うちだ・りお)プロフィール

      1991年生まれ、東京都出身。2010年にデビューをして以来、モデルやバラエティ、ドラマ、舞台などで幅広く活動。2014年『仮面ライダードライブ』で本格的女優デビュー。雑誌『MORE』レギュラーモデル。近年では舞台『星の数ほど星に願いを』やTVドラマ『来世ではちゃんとします2』で主演を務め、映画『リカ~自称28歳の純愛モンスター~』などに出演。

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    • 宮崎吐夢

      宮崎吐夢

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      宮崎吐夢(みやざき・とむ)プロフィール

      1970年生まれ、東京都出身。1992年以降、大人計画に参加。自身でイベント・ライブの企画・演出を行ったり、CD・DVDリリースや、小説・コラムの執筆をするなど様々な分野で精力的に活動。近年は舞台『もうがまんできない』『ピーター&ザ・スターキャッチャー』『シブヤデアイマショウ』、TVドラマ『破天荒フェニックス』『銀座黒猫物語』『恋する母たち』『あのコの夢を見たんです。』『恋はDeepに』、映画『凪待ち』などに出演。映画『キャラクター』が公開中。

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    • 米村亮太朗

      米村亮太朗

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      米村亮太朗(よねむら・りょうたろう)プロフィール

      1977年生まれ、熊本県出身。早稲田大学在学中に劇団ポツドールの三浦大輔と出会い、2000年以降、全ての公演に出演。近年では舞台『娼年』『そして僕は途方に暮れる』『母MATKA』また劇団KAKUTAや城山羊の会に出演。主演映画『いっちょんすかん』を含む『うつくしいひと』シリーズ(行定勲監督)など、映像への出演も盛ん。

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    • 星田英利

      星田英利

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      星田英利(ほしだ・ひでとし)プロフィール

      1971年生まれ、大阪府出身。『R-1ぐらんぷり 2005』で優勝。俳優としても活躍の場を広げ、近年ではNHK連続テレビ小説『おちょやん』『カーネーション』『まれ』、NHK 大河ドラマ『花燃ゆ』、TVドラマ&映画『ブラック校則』『宮本から君へ』 『沈まぬ太陽』、 映画『WALKING MAN』『見えない目撃者』など多数の作品に出演。

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    • 寺島しのぶ

      寺島しのぶ

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      寺島しのぶ(てらじま・しのぶ)プロフィール

      1972年生まれ、京都市出身。大学在学中に女優デビュー後様々な分野で活躍。2003年映画『赤目四十八瀧心中未遂』『ヴァイブレータ』で国内外の映画賞の女優賞を多数受賞。2010年『キャタピラー』でベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)を獲得し、『OHLUCY!』(18)ではインディペンデント・スピリット賞主演女優賞にノミネートされた。出演待機作に『キネマの神様』(21)がある。三浦大輔監督作品、舞台『禁断の裸体』、映画『裏切りの街』にも出演。

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    • 日高ボブ美

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