ジェーン・カンピオン監督の不朽の名作が30年の時を超えて4Kの美しい映像で蘇る
1993年、ジェーン・カンピオンの名前が一夜で映画史に刻まれた。
ヴィム・ヴェンダース、ケン・ローチ、マイク・リー、ホウ・シャオシェン、スティーヴン・ソダーバーグと錚々たる巨匠&奇才の新作が競い合うカンヌ国際映画祭のコンペティションで、女性監督初のパルム・ドール受賞を成し遂げたのだ。2021年には『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でアカデミー賞監督賞に輝いたカンピオンの最高傑作『ピアノ・レッスン』が今、4K映像によって繊細かつ壮麗に蘇る。
「私」らしくありのままに生きようとするヒロイン像の原点が観る者の魂の深奥を激しく揺さぶる物語
主人公のエイダは抑圧や生きづらさから解き放たれ、ありのままの自分を肯定し、「私」らしい生き方と幸せを探すヒロイン像の原点。エイダの激しい想いと彼女が自ら切り開く運命の物語が、観る者の心に永遠に刻まれる、感動を超越した映像体験。
【STORY】
19世紀半ば、ニュージーランドの孤島。エイダは父親の決めた相手と結婚するために、娘のフロラと1台のピアノと共にスコットランドからやって来る。「6歳で話すことをやめた」エイダにとって、ピアノは声の代わりだった。ところが、夫になるスチュアートはピアノを重すぎると海辺に置き去りにし、先住民との通訳を務めるべインズの土地と交換してしまう。エイダに惹かれたべインズは、ピアノ1回のレッスンにつき鍵盤を1つ返すと提案する。渋々受け入れるエイダだったが、レッスンを重ねるうちに彼女も思わぬ感情を抱き始める――