初めての恋に一途に生きようとするルチアを運命の荒波が呑み込んでいく
ベルカント・オペラの巨匠ドニゼッティの代表作「ルチア」
2011年藤原歌劇団公演「ルチア」
藤原歌劇団は、ベルカント・オペラを当団の重要なレパートリーと位置付けています。昨年はドニゼッティ「愛の妙薬」「ドン・パスクワーレ」、ベッリーニ「カプレーティ家とモンテッキ家」、今年7月にはベッリーニの大作「ノルマ」を上演。そして藤原歌劇団がこれまでに数々の名演を残してきたドニゼッティの代表作「ルチア」を12月9日、10日にBunkamuraオーチャードホールにて満を持してお届けいたします。
今回のルチア(S)には、当団のベルカント・オペラには欠かせないプリマへと成長した光岡暁恵と、昨年の「ドン・パスクワーレ」で好評を博した坂口裕子を配しました。エドガルド(T)は、韓国大邱(テグ)出身で、ミラノ・スカラ座研修所を修了し、ヨーロッパ各地の歌劇場でロドルフォ、マントヴァ公爵、アルフレードなどを歌って注目を浴びているジェイ・クォンと、「ラ・トラヴィアータ」「蝶々夫人」「仮面舞踏会」などで次々に主役を務めている西村悟の気鋭のテノール二人が務めます。また、ヴェルディ・コンクール第1位、オペラリア・コンクール第2位などの華々しいコンクール入賞歴を持ち、パルマのレージョ劇場でルーナ伯爵、リゴレット役を歌うなど、ヴェルディ・バリトンとして世界各地の歌劇場で活躍してきた韓国ソウル出身のカルロ・カンが、安定した表現力を誇る谷友博とのダブル・キャストでルチアの兄エンリーコ(Br)を演じます。そのほか、ルチアの相談相手であるライモンド(Bs)に伊藤貴之/東原貞彦。その他、藤原歌劇団の先鋭たちが出演します。
指揮はイタリア・オペラを知り尽くしたヴェテランの菊池彦典。演出は、2011年に、この舞台で好評を得た岩田逹宗。
伝統ある藤原歌劇団の「ルチア」にどうぞご期待ください。
STORY
16世紀末のスコットランド。アシュトン家のルチアは、政敵レーヴェンスウッド家の生き残りであるエドガルドと密かに愛し合っている。エドガルドがスコットランドの窮地を救うためにフランスに向かうことになり、二人は密かに結婚の誓いを立てる。しかし、ルチアの兄エンリーコは、経済的に追い込まれた家を立て直すために、妹にアルトゥーロとの政略結婚を強要する。兄にエドガルドからの偽の別れを告げる手紙を見せられたルチアは、アルトゥーロとの婚姻証書に署名してしまう。しかし、そこにエドガルドが現れて、彼はルチアの裏切りを責める。事実を知ったルチアは悲しみと後悔のあまり正気を失い、新婚の床でアルトゥーロを刺し殺し、彼女もまた弱り果てて死んでいく。彼女の死を知ったエドガルドもまた、自らの胸に短剣を突き立ててルチアの後を追う。