白樺や樫の木の深い森、雪に覆われた大平原、木々の葉が金色に色づく黄金の秋、長い冬が終わって樹木や草花が芽吹く春。こうしたロシアの大自然に、画家たちは大いなるロマンを見出し、絵画の題材としてきました。
このような作品が多く描かれるようになった19世紀後半は、ロシア帝国が崩壊し、やがてロシア革命を迎える激動の時代でした。芽生えはじめていた郷土愛とともに、当時のロシアの複雑な社会、そしてこの時代を生き抜いた人々もまた、絵画の題材となりました。
本展では、ロシア美術の殿堂と言われる国立トレチャコフ美術館が所蔵する豊富なコレクションより、19世紀後半から20世紀初頭の激動のロシアを代表する作家の風景画、風俗画、人物画、静物画を、自然や人物像に内在するロシア的なロマンに思いを馳せて紹介します。