
「観傭少女1 b」 125x50x50cm テラコッタ着彩
月光社。その美しくも不思議な名を持つ人形作家つじとしゆきは、当初絵画制作を始めるも平面作品に限界を覚えて人形作家に転向します。若くしてその類まれな作品群で早々に頭角を現した月光社は、将来を嘱望されたアーティストとしてコマーシャルな成功も遂げ、企画のオルガナイザーから後進育成まで、創作人形界で活躍し続けています。また2004年には東京都現代美術館にて開催された、世界初とも言える企画展「球体関節人形展」に出展、多方面から高い支持を得ると共にその地位を確立させました。
商業的な制作と並行し、独自の世界観を突き詰めた作品制作にも力を入れ、精力的に発表の場を持ち続ける月光社。湿気を帯びた土から丁寧に形づくられるその少女の人形たちは、素朴なリアリティを持ちながらも遠い憧憬の世界へと浸っているかの様です。そしてそれは単に人型の造形作品としてではなく、社会的なメッセージや物語性のある情景を垣間見ることが出来、月光社の創り出す世界が開拓されています。
Bunkamuraにて初個展となる本展では、人物像(少女像)をメインに、縄文土器や弥生土器、さらには古代中国の兵馬俑を思わせるインスタレーション作品をはじめ、手のひらサイズの小品から大作まで、一堂に展覧販売します。月光社という時空を超えた、叙情溢れる作品の数々をご覧ください。