
「能Ⅰ」
シルクスクリーン 71×56cm ED.100
母国であるアメリカで一流イラストレーターとして活躍後、クラシックバレエダンサーを描く事で国際的に名を馳せたロバート・ハインデル。ダンサーたちの麗容な姿はもちろん、その圧倒的画力で、受け継がれてきた舞踏芸術に立ち向かう彼らの精神性をも描き出した作品は、没後14年の今日でも観る者を惹きつけてやみません。
2000年代初頭、英国ロイヤルバレエ団に在籍していた吉田都氏や熊川哲也氏を描くなど日本にも縁のあったハインデルは、いつしか日本の伝統芸能にも魅了され、能や歌舞伎を描いた作品も数多く残しました。「能と歌舞伎で圧倒されたのは、コスチュームや仮面の美しさだけでなく、神秘的な動きの中にある静けさでした」と語ったハインデルは、東西の文化の違いを肌で感じ、それぞれの神髄を捉えるべく、陰影、描線、色彩、と画面構成などを巧妙に操り、みごと絵画上で東西舞踏芸術の差異を表現してみせたのです。
今展ではバレエダンサーを描いた代表的な作品はもちろん、能や歌舞伎を描いた作品も版画を中心に展示販売。偉才ロバート・ハインデルが描いた西洋と東洋の伝統芸能の世界をご堪能ください。