
「東方三博士の接見」
静謐な色彩と何かを語りかけている様な画面。山田の描く情景は、観る者の心の琴線にそっと触れ、忘れかけていた記憶を呼び起こすかの様に佇んでいます。何気ないありふれた物も、誰かの時間の中に生きる事で、いつしか思い出の風景となるのです。
山田は、古典的なヨーロッパの手法として知られるテンペラ絵具と油絵具を用いて制作しています。伝統的で高い技術を要する技法を選んだのは、500年経った今でも、変わらぬ美しさで在り続けているルネッサンス期の名画たちの様に、私たちが生きた時代の空気を残したいからと語ります。繊細な質感と重なる色彩が、より一層、描かれた物とその先に広がる記憶に光をもたらします。
Bunkamuraにて5年ぶり2度目となる今展では、新作・近作を中心に展覧販売致します。国内外のアートフェアにも積極的に参加するなど、活躍の場を広げる山田啓貴。その豊かな感性と確かな表現力にご期待下さい。