
「遠雷」 水彩紙、透明水彩
国内外での作品発表をはじめ多方面に活躍する水彩画家、永山裕子。水彩絵の具の透明感を生かしつつ、その概念を覆すほど重厚感ある色面を描き出す卓越した技術や、独自の視点でモチーフを捉える類稀なるセンスから、日本有数の水彩画家と高く評価されています。
熟れゆく果実の束の間の艶々しさ、水を張った器に満ちたエネルギー、一枚の花弁にも確かに宿るオーラ、そういった限られた時間の中にこそ在るモチーフの表情を感受し、向き合い、水の力を借りて紙の中に残していく表現力。筆先から情感溢れんばかりに描き出される色面は作家の身体を循環し放出される豊かな叙情性に満ち、技法を超える美しさが観る者の内面へと迫ります。
Bunkamuraで2度目の個展となる本展では、新刊画集「絵が上手いより大事なこと」の刊行記念として、花や静物、風景を描いた最新作品群に加え、巧妙な描写力が圧巻の人物クロッキーの数々も展覧販売いたします。美しき水彩世界を、ぜひ会場でご体感ください。