日本を代表する才能が集結し、世界が絶賛した最高傑作。
2016年に亡くなった演出家・蜷川幸雄の代表作『ムサシ』が2018年春、三回忌追悼記念公演として再演されることが決定した。
この作品は劇作家・井上ひさしさんが書き下ろし、2009年に初演。翌年にはロンドン・ニューヨークから招待され海を渡り、辛口で知られる英米の劇評家や満員の客席から大喝采を浴びた。イギリスの「インディペンデント」などの有力紙が、字幕で上演する外国作品に対して5つ星の高評価を与えるのは大変珍しいことだった。重厚なテーマの中に笑いを盛り込んだオリジナリティ溢れるエンターテインメントとしての評判は世界を駆け巡り、その後も海外からの招聘が相次いだ。現時点で、のべ5カ国9都市、計171ステージで約17万人を動員する名作舞台となっている。2013年のシンガポール、そして2014年のソウル公演でも批評家たちから、その年に上演されたすべての舞台作品の中でナンバー1の称号を得ている。(シンガポールでは「演劇界の3巨匠」として、ピーター・ブルック、サイモン・マクバーニーの作品と並んで『ムサシ』が招聘された。)
藤原竜也主演、伝説の舞台が
蜷川幸雄三回忌追悼公演として復活再演!!
2018年の再演でも、宮本武蔵を演じるのは藤原竜也。デビュー20周年を締めくくる舞台作品となる。対する小次郎に溝端淳平。他にも鈴木杏、六平直政、吉田鋼太郎、白石加代子ら、蜷川幸雄から最後に直接演出を受けた最高のキャストが誰一人として欠けることなく再集結する。2014年の上演時、藤原が劇中の武蔵と同じ35歳になったら、もう1度『ムサシ』をやろうと蜷川と約束したメンバーが勢揃いして、巨匠の三回忌を豪華に盛り上げる。
◆『ムサシ』2017年7月情報解禁時 出演者コメント
藤原竜也(宮本武蔵役)コメント
大変貴重なことに、井上ひさし先生が自分にあて書きしてくださった『ムサシ』には、”レクイエム”の要素が詰まっています。昨年、蜷川さんがお亡くなりになり、来年三回忌を迎えます。そして今年、自分は35歳という劇中の宮本武蔵と同じ年齢になりました。今、この時に上演することにとても意味のある作品だと思います。しっかりと丁寧に演じたいです。
溝端淳平(佐々木小次郎役)コメント
『ムサシ』は命の尊さ、平和を願った戯曲です。前回から参加させて頂いた僕も日本だけじゃなく海外で、この戯曲の力に圧倒されました。韓国公演でカーテンコールの際、若い韓国人の方が「日本と韓国もこうあるべきですね」と泣きながら拍手してくれたことが今でも目に焼き付いています。蜷川さんが作り上げ残して下さったものを大切に大切にしながら、邁進したいと思います。
■各国の劇評より
『ムサシ』には使い古された、つまらない展開は一切ない。 ニューヨーク・タイムズ紙
一瞬たりとも退屈しない夢のような舞台 デイリー・テレグラフ紙
結局は『ムサシ』のような上質な物語にはかなわない。 ニューヨーク・ポスト紙
最も日本的でありながら、最も世界的な演劇が誕生した。 エンタメディア紙
豊前国小倉沖の舟島。真昼の太陽が照り付けるなか、宮本武蔵(藤原竜也)と佐々木小次郎(溝端淳平)が、たがいにきびしく睨みあっている。小次郎は愛刀「物干し竿」を抜き放ち、武蔵は背に隠した木刀を深く構える。武蔵が不意に声をあげる。「この勝負、おぬしの負けと決まった」。約束の刻限から半日近くも待たされた小次郎の苛立ちは、すでに頂点に達していた。小次郎が動き、勝負は一撃で決まった。勝ったのは武蔵。検死役の藩医に「お手当を!」と叫び、疾風のごとく舟島を立ち去る武蔵。佐々木小次郎の「巌流」をとって、後に「巌流島の決闘」と呼ばれることになる世紀の大一番は、こうして一瞬のうちに終わり、そして……物語はここから始まる。
舟島の決闘から6年後の、元和4年(1618)夏。
鎌倉は佐助ヶ谷、源氏山宝蓮寺。名もなき小さなこの寺で、いままさに寺開きの参籠禅がとり行なわれようとしていた。大徳寺の長老・沢庵宗彭(六平直政)を導師に迎え、能狂い柳生宗矩(吉田鋼太郎)、寺の大檀那である木屋まい(白石加代子)と筆屋乙女(鈴木杏)、そして寺の作事を務めたあの宮本武蔵も参加している。
ところがそこへ、小次郎があらわれた。舟島でかろうじて一命をとりとめた小次郎は、武蔵憎しの一念で武蔵のゆくへを追いかけて、ここ宝蓮寺でついに宿敵をとらえたのだ。今度こそは「五分と五分」で決着をつけよと、小次郎は武蔵に「果し合い状」をつきつける。
こうして、世に並ぶ者なき二大剣客、宮本武蔵と佐々木小次郎の、命をかけた再対決が、「三日後の朝」と約束されるのだが………。